空前のお笑いブームを牽引する漫才師たち。中でも頭脳派・実力派の呼び声高い3人が、笑いの裏側をネタばれ覚悟で語り合う。
観客を抱腹絶倒に導くネタの作り方とは? 舞台上の知られざるテクニックとは? 昨今のキャラクター偏重、瞬間芸的お笑いとは一線を画す、漫才の奥深い世界が明らかになる。
増田英彦
中川 剛
水道橋博士
普段はベールに包まれている、ネタづくりの話題。博士は、3か月に1度きりの舞台で絶対にスベらないよう、1つのネタを1か月かけて練り上げ、舞台に上がるまでに50回以上書き直すという。さらに、演出上アドリブに見せたい所は、アドリブに見える表現を台本段階から書き込むこともあるという。これに対して、「台本は全く書かない」中川。ネタのおおまかな流れだけ把握しておいて、具体的なボケやツッコミは、日々上がる舞台で固めていくのだ。博士と増田は、中川の手法は劇場を持つ事務所の芸人ならではのものだと指摘。一方、時事ネタに強い相方岡田を辞書代わりに、会議室にこもってネタ作りをする増田は、アイディアが浮かばない時の「吸い殻だけがめっちゃ増えていく」苦しみを吐露した。
知られざる舞台上のテクニックとは? 日常の自然な会話を漫才で表現したい、という中川。舞台で同じネタを繰り返しやっていると、相方のしゃべりが惰性になって、感情の伴わない早口になることがあると指摘。そういう時には、自分がわざとゆっくりしゃべって相方のペースを戻すのだという。一方増田は、ネタ振り(「ボケ」を際立たせるための伏線)の重要性に言及。相方のネタ振りが弱いと思ったら、あえて自分でネタ振りを繰り返して強調してから、ボケにいくとのこと。さらに、話題はネタが飛んだときのフォローの方法に展開。博士は「ネタが飛んでも客は台本を知らないから気づく訳がない」と自分に言い聞かせたというエピソードを語った。
センターマイクだけが、舞台演出の道具となる漫才。増田は、コントのように小道具を使わず、しゃべくりだけで勝負する姿に憧れ、漫才師を志した。センターマイクには人一倍こだわりがあるという。博士も、センターマイクは漫才の象徴だと同意。「マイクを中心にボケとツッコミが分かれて、客席に向かって波状に笑いを発信していく」という独自の漫才論を披露した。これに対して、中川は「要らない」と反論。舞台上を自由に動けるピンマイクと違って、立ち位置が制限されるセンターマイクは邪魔なのだという。博士と増田は、センターマイクの高さを直す行為ですら漫才師の重要な所作の一つだと主張。それぞれのマイクに対する考え方の違いが浮き彫りになった。