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取材ウラ日記
「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」のロケはディレクターとカメラマンの2人きり。耳寄りな情報があれば、砂漠やジャングル、極寒のツンドラ、世界中どこへでも出かけていきます。このコーナーでは、ディレクターの撮影裏話をのせていくことにしました。これを読むと、一味違った番組の楽しみ方ができるかもしれません。
この先はディレクターの個人的見解と誇大な表現が満載です。マユにツバをつけてお読みください。
アマゾン川中流編 →取材の成果:第49回「水面の王者アマゾンに咲く!」
取材ウラ日記のバックナンバー
地球の裏側で、世界最大のオオオニバスに会う
大河アマゾン
大河アマゾン
オオオニバス群生地
オオオニバス群生地
直径2メートル。オオオニバスの巨大な葉は、水草としては世界最大。
さらに、葉の上に人間が乗っても沈まない、とてつもない浮力を持っていることで知られています。その怪物のような植物のふるさとは、南米・アマゾン。日本から見れば、ちょうど地球の裏側です。
成田空港を飛び立った飛行機がブラジル、サンパウロの空港に降り立つのは実に25時間後。そこから国内便に乗り継ぎ、アマゾン川中流の都市、マナウスへ向かいます。マナウスは、河口から1600キロほど内陸に入ったところに位置する人口150万人ほどの都市で、アマゾン川観光の拠点として知られています。マナウスに到着後、さらに漁船に乗り換え、1時間ほど川を遡ったところが、今回の取材の拠点となりました。所要時間は合計37時間ほど。
現地に着いたのは夜でしたが、正直、いったい何日の何時頃なのか、時間の感覚がまったくなくなるくらいの長旅でした。到着後、汗まみれの体をリフレッシュさせたいと、「熱いシャワーでも」なんて思ったのもつかの間、待っていたのは、アマゾン川の水を汲んだだけの濁ったシャワーでした。がっかりしましたが、浴びてみると思いのほか気分は爽快。到着早々、文字通り、アマゾンの洗礼です。そのまま、その夜は泥のように眠りました。
果たして人は乗れるのか?
直径2メートル!オオオニバス
直径2メートル!オオオニバス
人も乗れるか?巨大な葉
人も乗れるか?巨大な葉
今回、私たちには、ある実験を行う計画がありました。果たして、オオオニバスの葉に、どれくらいの浮力があるのかを調べてみるという試みです。
皆さんは、オオオニバスの葉の上に子供が乗っている写真をご覧になったことはありませんか?多くの図鑑に載っているので、目にしたことがある方も多いと思います。元はと言えば、19世紀、イギリスの造園技師が初めてオオオニバスの栽培に成功したとき、その葉の巨大さ、頑丈さを世間にアピールするために自分の娘を載せて写真を撮った、というのが始まりだそうです。以来、オオオニバスと言えば、必ず、「人を乗せても沈まない葉」というイメージとセットで語られるようになりました。
でも、私たちは本物の葉を目の前にしたとき、正直、ちょっと不安でした。確かに大きいことは大きいのですが、浮力以前に、人が足を乗せて体重をかけたら、葉が破れてしまいそうな気がしたのです。地元の家族の協力を得て、いよいよ実験が始まりました。オオオニバスの群生地のそばに住む、マウロさん一家の末娘(キャロルちゃん)とお兄ちゃん(エメソ君)に、葉の上に乗ってもらいます。実験はエスカレートして、しまいには、カメラマンの山口進さん(70キロ!)まで、葉に乗ってみるという意外な展開になりました。
驚きの連続 花のミステリー
開花1日目の白い花
開花1日目の白い花
開花2日目の赤い花
開花2日目の赤い花
とてつもない浮力を持ったオオオニバスですが、凄いのは葉だけではありませんでした。ある日、水面に奇妙な物体が現れました。直径20センチくらいの、トゲだらけのボールのような格好をしています。日没とともに、ボールが割れ始め、中から真っ白い花が現れました。謎の物体は、花のつぼみだったのです。純白の美しい花は、香りもそれに似つかわしく素敵でした。甘い、熟し切ったパイナップルのような香りにあたりは包まれます。そして、その香りに誘われ、花に向かって体当たりするように飛んできた虫がいます。なんと、コガネムシです。花とコガネムシに何が起きたのか?「監禁」「変身」「解放」・・・そこから先は、こんなキーワードで語られる、まさに、ミステリー小説のような驚きの連続のストーリーでした。
蚊の猛襲、怖いトゲ・・・撮影の苦労
巨大な葉と変幻自在の花。驚きの連続のオオオニバスですが、撮影には苦労がつきまといました。葉の撮影で困ったのは鋭いトゲ、うっかり素手で触ろうものなら、長さ2センチもある鋭いトゲが指に突き刺さり、血を見ることになります。葉を触るときには、分厚い革手袋が欠かせません。
そして、今回のロケで最大の問題は、蚊の猛襲です。オオオニバスの花が開くのは決まって日没直後。美しい変身ショーを撮影しようと固唾を飲んでいると、始めは「ぷ〜ん」と、小さな音が耳元で聞こえてきます。しかし、わずか数分後、その音は「ぶお〜ん」という轟音へと変わり、顔の周りに、蚊の大群が飛び交う恐ろしい光景が広がるのです。蚊がすごい、という話は取材前に聞いていたので、対策として、頭まですっぽり覆うメッシュの上着を持って行きました。それが効を奏し、あまり刺されずには済んだのですが、今までの人生で出会った蚊の総数と同じくらいの大群に毎晩取り囲まれ、その凄まじい羽音を聞き続けなければならないのは、正直、なかなかの苦痛でした。

しかし、オオオニバスの驚きにあふれた生き様を目の当たりにした私たちは、様々な苦労もすっかり忘れ、地球の裏側まではるばるやってきた甲斐があったと、しみじみと思ったのです。

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