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取材ウラ日記
「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」のロケはディレクターとカメラマンの2人きり。耳寄りな情報があれば、砂漠やジャングル、極寒のツンドラ、世界中どこへでも出かけていきます。このコーナーでは、ディレクターの撮影裏話をのせていくことにしました。これを読むと、一味違った番組の楽しみ方ができるかもしれません。
この先はディレクターの個人的見解と誇大な表現が満載です。マユにツバをつけてお読みください。
九州・有明海編 →取材の成果:第30回「現代の恐竜!コモドドラゴン」
取材ウラ日記のバックナンバー
コモドドラゴンVS戦車?
オス同士のオオゲンカ
オス同士のオオゲンカ
肉食のコモドドラゴン
肉食のコモドドラゴン
獲物はなんとイノシシ
獲物はなんとイノシシ
まさに「現代の恐竜」
まさに「現代の恐竜」
全長3メートル、体重は最大で100キロ近くにもなる、世界最大のオオトカゲ、コモドドラゴン。獲物はイノシシやシカ、繁殖期には巨大なオス同士がメスをめぐって命がけの喧嘩を繰り返します。人間が襲われた例もあります。このコモドドラゴンに、間近に近寄り、迫力あるシーンを撮影したい。そう思った私たちが今回の撮影のために特別に開発を進めてきたのが、HDV移動撮影システム、通称「戦車カメラ」でした。

遠隔操作の模型戦車の上にリモコンで動く小型ハイビジョンカメラを搭載し、カメラを上下左右に振ったり、ズームなどの操作も、すべて遠隔操作が可能です。カメラが捉えている映像も無線で全て送られてくるので、たとえ戦車カメラが見えなくなってしまっても、どんな映像が撮影されているかはバッチリ分かる、世界でたった1台の特殊機材なのです。

この戦車カメラが、国立公園のレンジャーたちや、島を訪れた観光客たちも興味津々、もしかしたらコモドドラゴン以上にみんなの注目の的になっていたかもしれません。
この戦車カメラを駆使して撮影に成功した数々の迫力のカット、番組で是非ご堪能ください!
世界でたった1台の「戦車カメラ」
世界でたった1台の「戦車カメラ」
戦車カメラで大接近!
戦車カメラで大接近!
コモドドラゴンもビックリ!?
コモドドラゴンもビックリ!?
戦車カメラにも全く動ぜず
戦車カメラにも全く動ぜず
近くでみると意外にかわいい?
近くでみると意外にかわいい?
すべてを切り裂く鋭い爪
すべてを切り裂く鋭い爪
ダッシュは時速20キロ
ダッシュは時速20キロ
戦車カメラで驚きの生態が明らかに!
戦車カメラで驚きの生態が明らかに!
開発2年!「戦車カメラ」はこうして作られた
この戦車カメラを開発したのが、番組技術開発の山下潤治専任エンジニアです。開発のときの苦労談を山下エンジニアにお伺いしました。
戦車カメラの開発裏話
戦車カメラの開発裏話
「このカメラの正式名称は「HDV移動撮影システム」といいます。300メートルまでなら遠隔操作が可能です。製作を思い立ったのは2年前です。地震などの災害時に崩れそうな建物の中を撮影したり、危険な動物にできるだけ接近できるカメラを作りたい、構想を練り始めました。

開発の際に最も気を配った点のひとつに開発コストがあります。それには、市販されているものをうまく活用し、オリジナリティーを持たせなければなりません。車体は金属性の模型戦車を改造、カメラ制御にはゲーム機用コントローラーを使用するなど、NHKの開発メンバーと共同開発メーカーの担当者がアイディアを出し合いました。

技術的にも、走行時の音をできるだけおさえるためにモーターやギアを全部取り替えたりと、実はさまざまな工夫が凝らされています。

今回の番組がこのカメラの初デビュー作です。ちゃんと動いてくれるのか、壊れはしないか、ロケスタッフが帰ってくるまではとっても不安でした。このカメラで撮影したコモドドラゴンを初めてみたときは、接近して撮影した映像ならではの迫力に驚きました。また、開発の苦労もあってか、世界最大のオオトカゲがなぜか可愛らしく見えてしまったのは私だけでしょうか・・・」
危険が一杯! コモドの森
地面にはサソリ
地面にはサソリ
木の上にはハブ
木の上にはハブ
森の中は危険がいっぱい
森の中は危険がいっぱい
恐怖!アリの大群
恐怖!アリの大群
コモド島で危険なのはコモドドラゴンだけではありません。枯れ木や落ち葉の中にはサソリが潜んでいます。死ぬことはありませんが、刺されたら大変です。

そして、木の上に潜むのは猛毒のハブの仲間、緑や青の美しい色をしていますが、葉っぱにまぎれてしまうと、どこにいるのかぜんぜん分かりません。そのほかにもコブラなど、気をつけなくてはならない動物がたくさんいるのです。

そして、数々の危険生物の中でも、スタッフを一番困らせたのは、意外な生きものでした。 ある日、コモドドラゴンを高い木の上で待ち伏せて撮影していたときのこと・・・。
「ヌォォォォォォッ!」
木の上からカメラマンの大きな悲鳴が!何に襲われていたのかというと、なんとアリの大群です。1日中を木の上で張り込むため、食事も木の上でお弁当です。デザートのバナナのにおいをアリが嗅ぎつけ、大挙して押し寄せたのです。

小さいアリですが、人間の体にもところかまわず噛み付き、これが実はかな〜り痛いのです。バナナが大好物のカメラマンでしたが、翌日のお弁当からはバナナが消えたことは言うまでもありません。
勇猛果敢! コモドレンジャー部隊
国立公園のレンジャーたち
国立公園のレンジャーたち
我々のロケを支えてくれたのが、コモドドラゴンを知り尽くしている、国立公園のレンジャーたちでした。レンジャーたちは皆、大の日本びいきです。というのも、レンジャーたちの必須科目になんと、日本の空手があるんです。「Chuudanzuki!(中段突き)」「Mawashigeri!(回し蹴り)」などさまざまな技から、型の演武まで、色々と披露してくれました。
そんなレンジャーたちの口癖は「ココロノトモ」。一体どうしてそんな言葉を知っているのか、最初は不思議に思っていたのですが、その理由はレンジャーたちの休日に判明しました。
休みの日、ギターを片手に大カラオケ大会が始まりました。その時、レンジャーたちが大合唱していたのが「ココロノトモ」。歌の題名だったんです。私たちは残念ながらその歌を知らなかったのですが、五輪真弓さんの歌で、インドネシアでも一時期大ヒットし、今では知らない人はいないくらいに有名なんだそうです。

陽気で冗談好きなレンジャーたちが、真骨頂を発揮したのが撮影の時です。 撮影中にコモドドラゴンがカメラに近づいてくることもしばしばありましたが、その度に「トンカット」と呼ばれている先が二股の棒でコモドドラゴンを追い払ってくれました。

朝から晩まで毎日苦労を共にするうちに、スタッフとレンジャーは固い信頼関係で結ばれ、正真正銘、「ココロノトモ」となったのです。
休みの日はリラックス!
休みの日はリラックス!
みんなで「ココロノトモ」を大合唱
みんなで「ココロノトモ」を大合唱
この棒一本でコモドドラゴンに立ち向かう
この棒一本でコモドドラゴンに立ち向かう
レンジャーとロケ隊も「ココロノトモ」
レンジャーとロケ隊も「ココロノトモ」
トカゲ界の天才!? コモドドラゴン驚異の知能
カタツムリを4匹与える
カタツムリを4匹与える
4匹を全部食べると・・・
4匹を全部食べると・・・
次の部屋への扉が開く
次の部屋への扉が開く
4匹食べれば次の4匹を食べられることを学習
次の4匹を食べられることを学習
1匹、2匹、3匹・・・あれ?4匹目はどこ???
1匹、2匹、3匹・・・
あれ?4匹目はどこ???
爬虫類界の天才児!
爬虫類界の天才児!
実は、コモドドラゴンは爬虫類の中でとびぬけて頭がいいと考えられています。なんと、「数を6まで数えられる」というんです。
実際の実験は、アメリカのサンディエゴ動物園の研究者により、コモドドラゴンより小さいノドジロオオトカゲというアフリカに生息するオオトカゲで行われました。このノドジロオオトカゲは数を4まで数えられます。 実験のやり方はこうです。

好物のカタツムリ4匹を小部屋に放します。(図1)

4匹全てを食べると、扉が開き、次の小部屋の中に入ることができます。そこにはまた4匹のカタツムリがいます。全部平らげればまた次の小部屋に入ることができ、また4匹のカタツムリを食べることできます。(図2・3)

こうして、「4匹食べればまた次の4匹が食べられる」ということをノドジロオオトカゲに学習させます。 その後、カタツムリが3匹しかいない小部屋にノドジロトカゲを入れると・・・(図4)
なんと、3匹全部を平らげた後も、ずっと4匹目を探し回るんです。(図5)

自分が何匹カタツムリを食べたか、ちゃんと数えているんです。
ちなみに、5匹以上になるともう混乱してしまい、その小部屋のカタツムリ全部を平らげればそれで満足するそうです。
目からウロコ!?コモドドラゴンには第三の眼がある!!
よろいのような皮膚
よろいのような皮膚
頭のてっぺんに一枚だけ半透明のうろこが
頭のてっぺんに一枚だけ半透明のうろこが
第三の目
第三の目
朝一番の日課はひなたぼっこ
朝一番の日課はひなたぼっこ
コモドドラゴンは、全身が硬く、黒っぽいうろこに覆われていますが、そのうろこの中に、1枚だけ半透明のうろこがあります。

実はこれ、「第三の目」と呼ばれており、実際に神経が脳につながり、明るさなどを感じることができるんです。頭蓋骨にも神経が通る穴が開いているそうです。
この第三の目は、コモドドラゴンの生活リズムをつかさどっていると考えられています。 太陽が何時に上がり、何時に沈むかを常に感知していて、睡眠ホルモンの分泌などをつかさどっているといいます。
体温の調節が自分でできないコモドドラゴンの朝一番の日課はひなたぼっこ、夜冷えた体を朝日で温めます。

木の陰や岩穴などで寝ているコモドドラゴンたち、大抵、日の出の30分から1時間前には起きだし、まだ真っ暗なうちから、丘の上やひらけた草原などをめざして歩き始めます。そして太陽が昇ると同時に朝日を全身にあび、暖をとります。
まだ真っ暗なうちから日が昇る時間が分かるのも、この第三の目のおかげなんです。
ちなみに、人間にもこの第三の目のなごりがあるそうです。赤ちゃんの時には大泉門といって頭蓋骨が開いている部分があるの、ご存知ですか?それがこの第三の目のなごりだという説もあるんです。
進められるコモドドラゴンの保護調査活動
押さえ込むには5人がかり!
押さえ込むには5人がかり!
体重は最大100キロ近く
体重は最大100キロ近く
gpsで行動調査
GPSで行動調査
icチップで個体識別
ICチップで個体識別
絶滅危惧種コモドドラゴン
絶滅危惧種コモドドラゴン
撮影期間中に、コモドドラゴンの研究者たちの国際チームがコモド島で調査を行っていました。IUCNにより絶滅危惧種に指定され、世界におよそ5000頭しかいないと考えられているコモドドラゴンですが、その生態は未だ謎だらけです。

わなでコモドドラゴンを捕獲し、体のサイズや体重を測定したり、地道なデータ収集が行われています。

コモドドラゴンの体内に小さなICチップを埋め込むことで個体識別をし、成長のスピードや行動の変化を記録する試みも始まっています。現在、900頭ちかくのドラゴンのデータが蓄積されつつあります。

コモドドラゴンに発信機をつけ、その行動範囲や移動ルートを解明する研究も進められています。その結果、今まで広範囲に移動をしていると思われていたコモドドラゴンが、意外に定住性が高く、自分が生まれ育った地域から動かない、という事が分かってきました。これは、ある一箇所の環境が破壊されると、その地域に住むコモドドラゴンが全滅する可能性もあることを示しています。
こうした研究を通じて、絶滅危惧種であるコモドドラゴンの保護政策の方針が決められていくのです。この貴重な生きものが、いつまでも健やかに生きていきていってくれることを願ってやみません。
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