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深海日記VOL.3 手に汗握る!潜水艇レスキュー訓練

深海取材チームの一員として撮影に参加した、写真家の山崎エリナさんの同行記。番組には登場しない裏舞台も含め、素敵な写真とともに紹介します。

潜水艇がトラブルに見舞われた場合、自力で浮上できるように何重にも安全設計されている。それでも浮上できない場合は、レスキュー用ROV(無人潜水艇)が救出に向かう。

レスキュー用ROV(無人潜水艇)を、深夜までかけて分解調整するデイブ。

本番の潜行を前に、最後のレスキュー訓練が行われた。
海底でナディア号が動けなくなったという想定で、ROVが出動し救助用フックをかけるのだ。
たゆまぬ訓練と信頼に、深海調査は支えられているのです。(この様子はぜひページの最後にある動画でご覧ください。)

さあ!最終ロケ地はパプアニューギニアの島々だ。
世界中の海をダイブしてきたアードマン博士がこれぼど美しい海は見たことがない!と絶賛するほどだ。

潜水艇に乗り込み、深海へ向かうまでを、時系列でご紹介しましょう。
まず朝は早起き。朝食は水分や食事を制限して、心の準備を整える。
何しろトイレがないので、これが一番の心配事。
そしてパイロットから安全に関するブリーフィングを受けたあと、潜水艇に乗り込む。
早速、博士は深海での調査目的などメモに書き込んでいる。
パイロットのデイブも起動チェック。

私はというと博士の調査風景を撮影する為に膝の上には魚眼、広角レンズ2本にメインカメラ2台、サブカメラ1台を乗せている。
このときは動画の撮影もあった為に動画用カメラも1台装備。大人3人が乗るともう身動きできないので、スムーズにカメラ交換できるようにシュミレーションを繰り返す。
今回は昨日から深海に沈めていた「ドロップカム(深海小型カメラ)」を回収するのも任務のひとつ。

深海へ出発だ!
右手に見える青い大きな筒が4Kカメラ。(ハイビジョンの4倍高精細で、深海のわずかな色彩も鮮明に記録できる)
ダイオウイカの時よりも更にグレードアップ!

アードマン博士の気合いが入る!行くぞ!

潜り始めると、アードマン博士の顔に笑顔が溢れる。上を見上げるとマンタが悠々と泳いでいる。

水深200メートルまで潜行する。目の前にそびえる巨大な崖に興奮。
しばらく進むと、ごつごつした不規則な岩穴が口をあけていた。
この岩の洞窟がシーラカンスなど、古代の生き物には格好の隠れ家。
潜水艇で、一つ一つ探索する。

潜水艇パイロットは今まで以上に慎重な操縦をしなければいけない。一歩間違えたら、岩に潜水艇が激突する可能性もあるのだ。ぶつかりはしないかとハラハラドキドキ。

ドロップカムを回収に向かうと、そこにはわずかな破片が残るのみ。何者かに破壊されていた。
まわりを探すと、崖の淵でカメラ部分を発見!

デイブがアームを器用に動かして、慎重に救出。カメラに何が映っているか?

何かに気づいたアードマン博士が、ライトを付けてくれ!と叫んだ。
その時・・・遠くでプカプカ浮かぶものを発見!

古代生物のオウムガイだった。およそ4億年前からほとんど姿を変えていないという「生きた化石」だ。なんとも優雅にこちらを見ているかのように潜水艇の周りをくるくると泳いでいる。

またもや、大きな洞窟を見つけた。慎重に洞窟の中にお目当ての生き物がいないか探る。
熱帯の海は栄養分が少なく、「海の砂漠」ともいわれる。ましてここは深海。
生き物の気配があまりない。
目を皿のようにしながら8時間、海底洞窟の調査を続けた。

そして浮上開始。水深50メートル、20メートルと光が少しずつ射し込んでくる。

「ザバッ~」という大きな音と共に潜水艇が水面に打ち上げられる。
この時の波と泡が美しい。潜水艇に乗ったものだけのご褒美とも言える瞬間だ。

無事に帰って来た。

さっそくダイバーが近づいてきて、海面に浮かぶ潜水艇からドロップカムを取り外す。
手を離すと撮った映像が海の底へと沈んでいくと思うと、こちらまで緊張してしまう。
3人で固唾を飲んで見守った。
無事回収!「よし!」と、ガッツポーズ。

アルシアも見えて来た。ようやく帰って来たという実感が湧いてくる。

連日続く過酷なダイブにも関わらず、どのダイブでもアードマン博士は笑顔をカメラに向けてくれる。

潜水艇がクレーンで海面から吊り上げられ、アルシアの甲板に下される。
潜水艇内の空気が安堵に満ちた。

文・写真 山崎エリナ

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