全国のNHK記者たちが地方の「今」に迫る


全国のNHK記者たちが地方の「今」に迫る

活性化の糸口は

札幌放送局小樽支局 
川口朋晃記者(北海道小樽市出身)

ニセコ町は冬はスキーのリゾート地ですが農業も盛ん。私のおすすめは道の駅で売っている「飲むヨーグルト」です!

切り札は「国際化」

ニセコ町に外国のスキー客が押し寄せていることは知っていたものの、まさかこれほどとは…でした。宿泊客の実に75%程が外国人で、レストランでは隣の外国人たちとすぐに打ち解けることもしばしば。町の人たちと夏にバーベキューをしたり、喫茶店で夜にジャムセッションを繰り広げたりと、豪快な遊び方に驚くとともに、国籍や人種などを飛び越え、仲良く暮らす魅力ある町だと感じました。

鹿児島放送局 
若林勇希記者(東京・築地出身)

鹿児島の最北端にある離島の町の自慢は養殖ブリの生産量・売上高日本一です!その町に自称「エイリアン」が来ました!

「外からの視点」を生かせ

外部の意見をフルに生かしているのが長島町です。総務省から派遣されている井上副町長は、大胆な改革を進めるために東京から大学教授や政策プロデューサーなどを招いては町の現状を「バッサリ」切ってもらっています。それもあって「消滅の可能性」も危惧された町も、今は活気づいていますがその勢いを保つにはどうするか。「生みの苦しみ」をひしひしと感じました。


「マルチ」で仕事を生み出せ

松江放送局 
山本沙織記者(山口県下松市出身)

中海・宍道湖・大山エリアは、四季を通じて美しい自然と、カニやシジミなどの豊かな水産資源が自慢です!

県境またいだ自治体連携

地域の衰退に歯止めをかけようと3年前から本格的に始動した「中海・宍道湖・大山圏域市長会」。県をまたいで複数の自治体が連携し、観光、IT、環境などの分野で地方創生の実現を目指しています。観光地が幅広く点在する地域では連携して観光客を呼び込むほうが得策です。ただ難しいのは、1つの事業がすべての自治体に利益をもたらすわけでもないこと。「利害を超えた」施策を打ち出せるかどうかが成功のポイントといえます。

報道局 遊軍プロジェクト 
木村祥子記者(神奈川県藤沢市出身)

西粟倉村は林業が盛ん。取材した木材加工会社では、住宅リノベーションブームもあって、家庭向けの床材がヒット(昨年度は売り上げ2億円!)お土産用の木のスプーンやフォークも人気です。

「多業」で稼ぐ!

地方へ移住するにも一番の不安はやはり「収入」です。そこで生まれたのが「多業」という、いくつも仕事を掛け持ちして年収を増やそうという働き方です。 一方で初期投資もかさむため移住者のやる気だけでは困難で、受け入れ側の地域や自治体にも、より充実した環境整備が求められています。
それでも「多業」は、私たちのワークスタイルや慣習となっていた日本の雇用システムを変えるかもしれないという地殻変動の予感がしました。


「教育」重視で流出防げ

徳島放送局 
清水大志記者(横浜市出身)

上勝町は「葉っぱの町」です。山の葉っぱを和食の「つまもの」に変えるビジネスでお年寄りが活躍中。最近では独特の風味を持つ発酵茶の産地としても話題です!

町が「無料塾」?!

取材した子ども自身が「塾に通いたかった」と語ったほか、複数の親からも、「以前から子どもにもっと良い教育を受けさせたいと思っていた」ということばが聞かれました。上勝町に限らず他の地域でも教育への投資が人口減少を食い止める鍵になっています。 来年からは小学生向けの無料塾も始まる予定で、教育への投資が他の地域でも広がるのか、上勝町が教育の町として成功するか、注目されます。

札幌放送局千歳支局 
田隈佑紀記者(札幌市出身)

炭鉱跡や化石が出土する地層は「日本ジオパーク」にも指定され、大いなる歴史のロマンを味わえます。最近売り出し中の「三笠メロン」は、強い甘みと香りが海外でも人気です!

高校は「調理専門」

「こんな高校あるんだ」。札幌の普通科高校を卒業した私にとって、三笠高校の取材は驚きの連続でした。農作物を育て、自らレシピを考案、販売までする実践教育。それを実現しているのは地域と学校との距離感の近さで、まさに地方ならではの教育だと感じました。「世界一の料理人になりたい」と口々に話す頼もしい生徒たちの夢は、将来想像を超える効果を三笠にもたらすかもしれません。


地方発の働き方改革

宮崎局 
川田陽介記者(宮城県東松島市出身)

宮崎市は「スポーツ合宿」誘致を積極的に進めていて、ラグビー日本代表も大会直前まで合宿を行いました。スポーツで地域活性化に取り組んでいます!

地方発「働き方革命」

取材した企業のオフィスは、まるで東京の企業と同じような緊張感のある職場でした。この企業では子育てや介護をしている主婦などにも注目しています。自治体の担当者も「活用されていなかった労働力を掘り起こすことで地域経済の底上げにもなる」と期待を寄せていました。宮崎発の「新しい働き方」、今後も取材を進めます。

高松放送局
中川理恵記者(広島県呉市出身)

生で食べられるアスパラに世界最大級のキウイ。農作物の高級品種も次々と開発され、生産量で劣る最小県だからこそおいしさと品質で勝負。「うどん県」だけじゃない!

テレワークで看護師不足を補う

番組で紹介した新しい訪問看護のシステムは、これまで対面で行っていた看護師どうしの情報共有をタブレット上で行うことなどで効率化させ、看護師を確保しようという逆境から生まれたアイディアです。ただ新しいことに挑戦するときに不安はつきもので、現場では模索が続いています。人口減少で人材不足が課題となるなか、今までの仕組みや制度とどのように折り合いをつけるのか、これから考えていかなければならないと思います。


地方金融機関の挑戦

鹿児島放送局 
長野幸代記者(鹿児島県西之表市出身)

南北の距離が600キロにもなる鹿児島県。毎日のように噴火する桜島やエメラルドグリーンの海、雄大な山々など自然の見どころたっぷり。特におすすめは、たくさんある温泉とおいしいごはんです。

事業拡大で収益を

去年、地元に大きな衝撃を与えた経営統合のニュースを間近で見ながら私は「名前も変わらないし何が変わるんだろう」と思っていました。実際、その影響を疑問視する声もありますし、当事者たちも早く効果をみせたいと取り組んでいます。それでも最近は企業の経営者だけでなく、さまざまな人たちが「鹿銀でさえ統合する時代」と口にするようになりました。地方の危機感を敏感に察知して日本全体の活性化につなげていきたいと思います。

熊本放送局 
三浦太一記者(宮崎県延岡市出身)

熊本市は熊本城と豊かな地下水が自慢。九州新幹線の開通でアクセスがますます便利になりました!多良木町は「日本三急流」の一つ、球磨川が流れる自然あふれる町です。名産の焼酎も味わってみては?

地域密着に活路を

「お堅い」金融機関が「婚活イベントという柔らかい取り組みに挑戦していることに新鮮な驚きがありました。また「中高年向け健診」に着目した定期預金を開発した金融機関も、少しでも預金量を維持したいという意欲を感じました。急速な人口減少には創意工夫で立ち向かう、地域金融機関の底力を感じた取材でした。今後もふるさとを元気にするユニークな取り組みを掘り起こして全国に発信していきます。


埋もれた人材を開拓しよう

神戸放送局 
田口めぐみ記者(鳥取市出身)

養父市は古くから農業が盛んな地域で、それを支えたのが但馬牛です。高級ブランド肉「神戸ビーフ」のもとになっていて、穏やかな性格だけど力持ち。この地域の人たちの気質にそっくりなんです。

規制緩和で高齢者の活躍を

「もっと働きたい」というシルバー人材センターの会員のことばに驚きました。過疎化の進む地域ではシルバー人材センターが働きたい高齢者の受け皿になっていますが、収入の安定を目指したり経験や技術を活かしたりするには今の制度は十分ではありません。養父市と地域の高齢者が2年がかりで国に働きかけ、規制緩和をつかんだ実行力、これこそが地方の未来を切りひらくカギだと感じました。

鳥取放送局 
木庭尚文記者(福岡県大牟田市出身)

鳥取県の東端に位置する岩美町の自慢は、透明度は沖縄にもハワイにも負けない浦富海岸。夏は海水浴やカヌーなどが楽しめ、岩ガキ、白イカなど海の幸も絶品です。鳥取市の海も負けず劣らずきれいですよ!

兼業で多様な人材を

ワーク・ライフ・バランスが大事といっても、仕事に追われ自分の時間をなかなか持てない人が多いのではないでしょうか。はい私もその一人です。今回取材した方々は、「ワーク」では自分が好きな2つの仕事を兼業しながら自己実現を図っているうえ、「ライフ」でも自分や家族との時間を確保している人生の達人たちでした。こうした働き方を実現するにはもちろん企業側の支援が必要です。鳥取発の「働き方」改革、私も目指してみようと思います。


ヒントは意外なところに

山口放送局 
渡邉亜沙記者(さいたま市出身)

萩市は世界遺産に登録された松下村塾など歴史のまちとして有名ですが、鮮度抜群の日本海のおいしい魚も満喫できます。秋吉台などの景勝地も近くぜひ一度足を運んでみてください。

魚の「ブランド化」を!

漁業はとにかく朝が早くて体力も必要。過酷な現場で頑張っている人たちが、私たちの豊かな食を支えています。今回取材した「萩しーまーと」による新商品の開発や魚のブランド化は順調ですが、漁業者の利益につながるにはまだ時間が必要です。漁業の未来を明るくしていくには、外からの視点を上手く取り入れることが大切だと感じています。

山形放送局 
宮崎良太記者(東京都足立区出身)

松尾芭蕉も訪れたと言われる赤倉温泉は各宿が自前の温泉を持ち豊富な湯量が魅力です。林業体験で森に触れつつ温泉に入って地元自慢のそばを食べて帰る!というツアーも人気です。

木質チップで町づくり

国が地方創生を声高に主張するなか、多くの自治体はこれといった特徴を出せずに総花的な政策に留まる現状があることに注意しないといけない、と感じました。一方で住民レベルでは地元の物を使って「売り」や仕事を作ろうと多くのアイデアや活動が進んでいます。最上町のように行政が前に立って「売り」を作ったり、住民たちの動きを後押ししたりつなげたりすることで、地方に多くの「売り」が出来ると感じました。


地方創生の在り方は

前橋放送局 
松木遙希子記者(福岡県古賀市出身)

南牧村は群馬県南西部の山あいにあります。人口およそ2100人で高齢化率は60%と全国トップクラス。でも、元気なお年寄りが多く、道の駅では地元でとれた自慢の野菜やこんにゃく、特産品の「しそ巻き」が好評です。

「身の丈」にあった取り組みを

実は私もことし東京から群馬に赴任したばかりです。赤城山などの美しい稜線に囲まれ、県民の人情にふれ、改めて東京とは違うベクトルの豊かさを実感しています。もちろんないものを数えればきりがありませんが、反対に今ここにある豊かさをどうとらえ、どう展開させていくかが問われる時代だと感じます。そして私たち伝え手に何ができるのか。南牧村をはじめ県の未知の可能性をこれからも探り続けていきたいと思います。


新たな仕組みの活用を

福岡放送局 
武田善宏記者(広島県呉市出身)

うきは市はぶどうなどの果物が特産で美しい田園風景が広がるのどかな街、大川市は昔から家具産業が盛んな「インテリアの街」で、どちらも九州最大の筑後川が流れ、温泉もあります。

認知症予防で投資呼び込め

今回取材したSIB(=ソーシャルインパクトボンド)は、税金や保険料など公金で運営されてきた社会保障の分野に民間投資を活用しようという、これまでにない新しい仕組みです。 人口減少に直面する多くの地方自治体は今後いっそう財政が厳しくなるとみられるなか、支出の抑制を図りつつ必要な公共サービスを提供するという難しい課題に直面し、試行錯誤を続けています。SIBは、そうした自治体にとって救いの手となりえるのか、福岡の現場を今後も注目していきたいと思います。