戦跡 薄れる記憶日本とアジアの中高生はどう向き合ったか(2016/8/13 放送)

日本や韓国、中国などの若者たちが寝食をともにしながら戦争や平和について考えるキャンプが北海道で行われました。
テーマは戦時中の労働者の歴史です。政治や外交など国どうしが難しい問題を抱えるなか若者たちは何を感じたのでしょうか。

期待と不安のなかで

キャンプでは日本、韓国、中国、台湾の若者およそ120人が、平和へのメッセージをとりまとめることを目指しました。しかし日本の高校生からは「ちゃんと意見が固まるか心配です」と、不安の声も聞かれました。

その不安が的中したのは、参加者たちが戦時中の労働者にかかわる場所を訪れたときです。北海道では、戦前や戦中、国策としてダムなどの建設や炭鉱開発が行われました。朝鮮半島出身者や中国人を含む多くの労働者が粗末な食事で長時間働くなど過酷な環境のなかで命を落としました。

芦別市の炭鉱跡には中国人労働者の宿舎が残っていて、「川のふちで逃げられないような場所に住まわせた」と説明されました。

中国や韓国の生徒からは「このような行為は人を侮辱するものだ」「日本が少しでも譲歩して過ちを認めればいいと思う」と、厳しい意見が相次ぎました。

新たに学んだことも

一方、中国や韓国の生徒がいままで知らなかった事実を学ぶ機会もありました。ひとつは、戦時中の労働で日本人の側にも多くの犠牲者が出ていたことです。この日訪れた幌加内町では、地元の市民グループの代表から戦時中のダム建設について話を聞き、少なくとも200人近い日本人が亡くなったことを知りました。

実際に犠牲になった人の遺骨も見ました。また、亡くなった朝鮮半島出身者の遺骨が市民グループの手で韓国側に返還されていることも学びました。生徒たちは、市民レベルで歩み寄ろうという取り組みが進められていることに驚いた様子でした。

キャンプから生まれたものは

スポーツをして交流する機会もありました。見学や議論では、ぎくしゃくしがちでしたが、生徒たちは一緒に汗を流す時間を楽しむことができました。そして迎えた最終日。目標としていた、平和へのメッセージの発表です。あるグループでは中国の高校生が仲間をリードし、「キャンプに参加した私たちが率先して東アジアの平和を促進する」と述べました。

「ほかの国のことをみるよりも、まずは優先的にアジアのことを見るべきだと思った、問題などを知って」(日本の高校生)
「国と国の政府は厳しい関係なのに、一緒に笑い合いながら過ごせたのが一番楽しかった」(韓国の高校生)

政治や外交の問題とは別に互いを理解しあうことの大切さ。若者たちが前向きに歩む可能性を模索したキャンプとなりました。参加者たちは、キャンプ中にお互いの連絡先を交換し、今後も交流を続けようと約束しあったということです。