過去の主な放送

ドクター・アトミック ~科学者オッペンハイマーの実像~

初回放送
BShi 2008年8月7日(木) 午後8時~
再放送
BShi 2008年8月18日(月) 午後2時~

2005年、サンフランシスコの劇場で、ある新作オペラが上演された。題名は「ドクター・アトミック」(原爆博士)。主人公は、科学者ロバート・オッペンハイマー。原爆を開発したマンハッタン計画の中心人物だ。これは1945年7月16日にアメリカが行った人類初の原爆実験と、その開発の舞台裏を描いた異色のオペラである。
「芸術はどのようにして、テロや核拡散という、現代の社会問題に応えることができるのか?」オペラの作者やスタッフはそう問いかける。
この番組は、オペラの制作過程に密着しながら、貴重な資料映像や物理学者の証言を織り交ぜて、アメリカが核開発で背負う原罪と、科学者の倫理的責任を問いかけるアート・ドキュメンタリーである。

番組データ

  • 原題:WONDERS ARE MANY: The Making of Doctor Atomic
  • 制作年:2007年
  • 制作会社:Jon Else and Actual Films/WGBH(アメリカ)

ドクター・アトミック ~科学者オッペンハイマーの実像~

© 2007 Jon Else

オペラ「ドクター・アトミック」

2幕からなる新作オペラ。第1幕は、実験の1か月前のロスアラモス核実験場。科学者たちと軍関係者らが、人類の未知の実験をめぐって、それぞれの立場から「自己の正当性」を主張し合う。第2幕は、実験を直後に控えた1945年7月15日の朝。実験が人類に何をもたらすのか、不安と重圧に苦しめられるオッペンハイマーと、妻キティの会話を中心に、科学者が負う倫理的責任について問いかける。(作者 ピーター・セラーズ  作曲 ジョン・アダムズ)

科学者ロバート・オッペンハイマー

原爆の開発を主導したユダヤ系アメリカ人物理学者。ナチスドイツに対抗するため、自ら原爆開発プロジェクトに参加した。しかし、広島、長崎の惨状を聞いた後、水爆の開発に反対を唱え、アメリカ人から裏切り者のらく印を押される。オペラでは主人公として、核実験前の科学者の心理を語る。ドキュメンタリーでは、本人の生前のインタビュー映像を使い、その思想と心情に迫る。またオッペンハイマーの言動の意味について、世界的な理論物理学者で、核批判を展開するフリーマン・ダイソンが、解説・証言する。

一覧へ戻る

ドクター・アトミック ~科学者オッペンハイマーの実像~ 写真

© 2007 Jon Else

ドクター・アトミック ~科学者オッペンハイマーの実像~ 写真

© 2007 Jon Else

ドクター・アトミック ~科学者オッペンハイマーの実像~ 写真

© 2007 Jon Else