地中海の覇権をかけて

カルタゴは北アフリカを中心に古くから交易で栄えた海洋民族。ローマはイタリア本土を征服後、領土拡大を目指していた。紀元前3世紀、2つの文明は地中海世界の覇権をかけ戦争に突入する（ポエニ戦争）。そんな時代に生まれたハンニバルは少年時代から父から軍事的な英才教育を受ける。ハンニバルが成人した頃、両者の戦いは本格化していく。

“アルプス越え”伝説の誕生

ハンニバルの前に、ついにローマ軍がやってきた。カルタゴのお膝元スペインで、小国サグントを征服したのである。彼は立ち上がった。ローマ軍を倒すと、彼は兵士たちと37匹の戦闘象を連れ、意表をつくアルプス越えを敢行した。しかし、それは予想以上に厳しい行軍だった。悪天候と略奪目的の攻撃にもさらされ、多くの兵を失う。それでも、ハンニバルの強い意志で伝説のアルプス越えに成功、ローマの目前まで迫る。

宿命のライバル・スキッピオ

ハンニバルは勝利し続けた。カンナエの戦いではローマ兵がほぼ全滅する。一方、ローマは若き将軍スキッピオに大きな権限を与え、新たな作戦を練った。母国カルタゴへの揺さぶりだ。スペインや北アフリカの都市を攻めたのである。ローマ中心に迫ったハンニバルの軍は援軍を待った。しかし、ローマの反撃を恐れたカルタゴは要請を無視する。ハンニバルはローマを苦しめるが、決定的な勝利とはならなかった。

祖国の裏切り

そして、ハンニバルに祖国から帰国要請が届く。やむなく母国へ戻ったハンニバル。そこで待っていたのは、カルタゴ元老院の裏切りだった。休戦を求めて、ハンニバルをローマに差し出すと決めたのである。ハンニバルの逃亡生活が始まった。ローマ陥落寸前まで迫った伝説の軍師は逃亡生活の末、紀元前183年、自ら命を絶つのであった。

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