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障害をもつ人たちのはたらく場を地域につくる

障害をもつ人たちのはたらく場を地域につくる

2019年11月26日更新

障害のあるひとたちがはたらく場を得ることは、たんに収入を得ることだけでなく、他の人たちとつながり、やりがいを得て、自分の居場所を作っていくためにも重要なことです。
政府も、障害をもつ人たちの安定した雇用環境を整えるために、一定規模以上の事業所に法律で障害者雇用を義務付け、雇用率も段階的に引き上げてきましたが、現状では、多くの企業で障害者の受け入れが進んできたとはいえません。
一方で、地域に目を向けてみると、障害をもつ人たちを積極的に雇用している中小企業や、障害をもつ人たちが、自分たちの手で仕事をつくりだしている事業所もたくさんあります。
障害をもつ人たちが地域の中ではたらき生活するために何が必要なのか、動画の事例から考えてみましょう。

障害者がはたらきやすい職場はみんながはたらきやすい職場

定着しにくいといわれる精神障害者が何人も長期勤続する工場。変化のきっかけは、精神障害のある労働者が起こしたミスでした。障害者の解雇を求める声も上がるなか、「個人の責任にするのでなくミスをなくす職場にしよう」と改善をかさねることで、職場全体の雰囲気が変わっていったといいます。

精神障害者が働きやすい職場で能率も向上

職場への定着が難しいと言われる精神障害者。しかしこの会社には長期で働き続けている社員が多くいます。精神障害をもつ社員がミスを起こしたとき、社長は、誰にとっても働きやすい職場にしようと、全体でチェックしやすくなる体制にしました。すると会社全体のミスは激減。また、ひとりひとりの長所にあわせて仕事を割り振ることで、収益率も高まりました。障害をもつ人たちが自信をつけ、職場にも思いやりと活気が生まれています。

ハートネットTV シリーズ 精神障害者と働く
第2回「共に働くことは“強み”になる」
(2018年4月4日放送)

必要なのは発想の転換

障害者を雇用するなど、まったく考えていなかった農園経営者。その考えを180度変えたのは、ある特別支援学校の先生でした。人にあわせて作業の方を見直す発想の転換で、商品の価値を高め、労働者の3分の1を障害者が占めるまでになりました。

障害者が働きやすい農業で価値を高める

障害者雇用の先駆けといわれる農園を経営する鈴木厚志さん。家族経営からの転換のきっかけとなったのは、農場を訪ねてきた特別支援学校の先生が、熟練でも難しい作業を、ちょっとした工夫で、より早く上手くやってのけたことでした。「できない人ができるように作業を考える」ことを学んだ鈴木さん。障害をもつ人が、それぞれ力を発揮できるように作業のやり方を考え、道具を開発。農業の付加価値を高めることにもつながりました。

ハートネットTV
広がる“農福連携”~新しい地域のカタチ~
(2017年7月11日放送)

無理せずはたらける職場

精神障害をもつ人たちが支援を受けながらはたらく出版事業所。障害者が居場所をなくし、多くをあきらめざるを得ない現実を目の当たりにした精神保健福祉士が立ち上げました。自分たちの経験や特技を生かし、無理せずはたらくことのできる職場です。

地域の中に精神障害者が働ける居場所を

メンタルヘルスに関する雑誌や書籍を出版している福祉事業所。ここでは、精神障害のある30人が働いています。事業所を立ち上げたのは、かつて精神病院で精神保健福祉士として働いていた川畑善博さん。働こうとしながら居場所を失い、あきらめの中で生活していた患者たちの姿を見て、地域の中に居場所と働く場を作ろうと考えました。体調や気分を管理しながら働き続けることで、生きがいや可能性を実感できる場所になっています。

ハートネットTV シリーズ 精神障害者と働く
第2回「共に働くことは“強み”になる」
(2018年4月4日放送)

その人の能力にあわせて仕事をつくる

障害をもつ人が無理せずはたらいて収入を得るために、その人が得意なことを仕事にするというやりかたも。商店街の中にあるこの福祉事業所(A型事業所★注)では、本人たちから「やりたいこと」を募っています。自分の能力を生かして収入を得、地域の人々とつながることにもなっています。

★注:就労継続支援A型 一般企業での就労が困難な障害者が雇用契約にもとづき支援を受けながらはたらくことのできる福祉事業所。

障害者の能力にあわせた仕事を作る

障害者が支援を受けながら最低賃金以上で働くことができる「A型事業所」。しかし一部に助成金頼みの不適切な運営があるとして、国は規制を強化しています。障害者支援と経営の両立が課題となっているなか、倉敷市の事業所は、接客が得意な人を雇用してクリーニング店の経営を安定。また岡山市の商店街にある事業所では、障害をもつ本人たちから仕事の企画を募集し、ひとりひとりの能力が生かせて収入にもなる仕事を作り出しています。

@okayama
ともに働く ~障害者の解雇から考える~
(2018年12月14日放送)

「精神障害で町おこし」!

ユニークなとりくみで世界的に知られる、精神障害をもつ人たちのグループホーム「べてるの家」。地域に受け入れられる存在になろうと、「精神障害で町おこし」というスローガンをかかげて仕事をつくりだしてきました。いまでは町になくてはならない存在です。

町に欠かせない精神障害者たちのグループホーム

北海道浦河町にある「べてるの家」。ここには、精神障害のある約150人が暮らしています。幻聴や幻覚に悩まされる様子は、事情を知らない人には驚きですが、この町では日常の光景。「精神障害で町おこし」というスローガンを掲げて仕事を生み出し、地域との接点を増やしてきました。薬で治すのではなく病気とつきあうユニークな実践で、世界にも知られるようになった「べてるの家」。今では、町に欠かせない存在になりました。

バリバラ
「幻聴さんと暮らす~“べてるの家”の奥深い世界~」(1)
(2016年10月16日放送)

おわりに

障害のある人たちにとってはたらきやすい職場は、すべての人にとってはたらきやすい職場になっています。大切なことは、ひとつの型に合わせた能力を求めるのではなく、むしろ目の前にいる人それぞれにあわせて、仕事のやりかたを工夫し変えていくことにあるのではないでしょうか。