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林業がよみがえれば地域が生き返る

林業がよみがえれば地域が生き返る

2019年10月10日更新

日本各地の豊かな山は、かつて、材木、燃料、食べ物、仕事を生み出す地域経済の大きな柱でした。しかし高度経済成長期、人工林が多く造成された一方で、外国産木材の輸入が自由化されたことによって、国産材の価格は低迷。林業の担い手は減り続けています。
人が使わなくなった山は荒れ、環境悪化や災害など、地域に負の連鎖を生み出してしまいます。
その反対に、森を地域にそなわった資源として手入れして使えば、林業は、他の産業にもプラスの効果を生み出し、地域を豊かにするサイクルを回すことができるのです。そのことを示してくれる各地の取り組みを、映像で見てみましょう。

林業の仕事を自分でつくる

荒れた山を見かねてボランティアで手入れを始め、「林業は収入になる」と気がついた中嶋健三さん。ひとりからでも始められる「自伐型林業」なら、他の仕事と組み合わせることで生活に必要な収入が得られ、地域の中に仕事を生み出すことができます。

「自伐型林業」で地域に仕事を生み出す

衰退した林業を生かして地域に仕事を生み出そうと、高知県でNPO活動をしている中嶋健三さん。中嶋さんが提唱する「自伐型林業」は、大型機械で大量に伐採する従来のやり方ではなく、個人やグループが必要な分だけ切り出すやり方です。これなら高価な機械も必要なく、農業など他の仕事と兼業することで、安定した収入が得られます。中嶋さんのアイデアと熱意は地域を越え、全国で賛同する人たちの活動が始まっています。

NEXT 未来のために
本気で社会を変えたい “草の根”改革者の挑戦
(2016年10月29日放送)

エネルギー自給の柱に

高知県梼原町では、地域経済を回すきっかけになったのは、風力発電でした。売電で得た利益を森林整備にあてて、良質な木材を生産する一方、間伐材は燃料用の木質ペレットに。生まれたエネルギーがさらに福祉や農業に生かされ、いいサイクルが動き出しています。

林業を利用した再生可能エネルギーで地域を元気に

過疎に悩む高知県梼原町では、風力発電による再生可能エネルギーをきっかけに地域が再生しています。風力発電の売電収益によって森林を整備。林業が活気を取り戻したほか、間伐材を乾燥、圧縮してつくる木質ペレットを利用した発電にも着手。町内の公共施設やビニールハウスの暖房などに利用しています。町役場に太陽パネルを設置したり、水力発電を街灯に利用したりするなど、電力自給率100%を目指した取り組みが広がっています。

TVシンポジウム
農山村と再生可能エネルギー~地域をどう活性化させるか~
(2014年3月8日放送)

高品質の製品で木材に付加価値を

とはいえ国産材の価格低迷が続く現状では、せっかく何十年もかけて木を育てても、生産者は十分な利益をなかなか得られません。ならば材料を提供するだけでなく、最終製品を地元で生産することで、高い価値を実現しようと考えた林業の村。村に移住した職人が作る高品質の家具は、森林を守り、仕事を生み出しています。

森林と地域経済を再生する地産の木製家具

村の面積の95%を森林が占める岡山県西粟倉村では、安い輸入木材に押されて林業が衰退、過疎・高齢化が深刻でした。そこで森林を活用して地域を元気にしようと、村と民間企業が共同出資で会社を設立。全国から若者をスタッフとして募り、木材生産から家具や建材づくりまで手がけることで収益を上げ、「ニシアワー」ブランドで販売。地域の木材加工場などでの雇用増にもつながっています。

サキどり↑
みんなで森をげんきにしよう!
(2011年6月12日放送)

林業の町が始めた仕事づくりの学校

この西粟倉村では、家具など従来の木材製品だけでなく、さらに森林資源を生かした新しい仕事を生み出そうと、ベンチャー企業の育成にも挑戦中。仕事づくりの学校から、続々とあたらしいアイデアが誕生しています。

起業家育成に取り組む森林の村

木材の安値に苦しめられてきた岡山県西粟倉村。ここから今、自分たちの手で魅力的な製品を生み出し、高い価値を実現するベンチャー企業が続々と生まれています。木工品の製作販売を手がける会社は、顧客の細かな要望にも対応することで信頼を得て成長。村で起業したい人たちを育成するスクールも始まりました。今では30を超える企業が、うなぎの養殖や木製楽器の制作販売、ジビエ食堂など、地域の魅力を製品化しています。

@okayama
岡山の未来は 起業家にあり!
(2018年11月16日放送)

被災時にこそ地元の木材を

災害のときにこそ地域に根付いた林業が役にたつ。そのことを証明したのが、岩手県の小さい林業の町でした。仮設住宅はプレハブ長屋が主流でしたが、木造一戸建ての仮設住宅は、被災者たちが温もりと人間らしい生活を取り戻す助けになりました。

木造仮設住宅で隣人を救った小さな町

津波で大きな被害を受けた岩手県大船渡市と陸前高田市。隣り合う住田町は、震災から4日目に、地元の木材を使った木造一戸建ての仮設住宅建設を申し出ます。そこに立ちふさがったのは法律と資金の壁。しかし、隣人を助けるのに国の制度が変わるのを待ってはいられないと、町長や職員、議員、建設業者などが一致して協力。町の資金を投じて震災から11日目には建設に着工し、地域が主体となった住宅支援のモデルとなりました。

明日へ つなげよう 証言記録 東日本大震災
第66回「岩手県住田町 仮設住宅に木のぬくもりを」
(2017年7月30日放送)

おわりに

高度経済成長期に壊れてしまった日本の森林と経済の関係を修復し、持続可能なサイクルをつくる取り組みは、日本各地でしだいに芽を出しつつあります。一人ひとりが国産材を使った製品を選んだり、地域の森を手入れすることから、環境破壊や災害を防ぐ一歩もはじまります。