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つながって商店街の再生を Part2 商店街はテーマパーク!

つながって商店街の再生を Part2 商店街はテーマパーク!

2018年12月5日更新

商店街を元気にしたいと悩んでいた下田市商店街の人たち(Part1「再生のヒントはどこに?」)。島田さんの案内で、埼玉県秩父市の商店街を訪れ、さまざまな工夫に感心します。次に訪れた深谷市では、「若女将の会」のガイドで商店街をめぐるツアーに参加。最後に訪れたのは、商店街主催のワンコイン夕食会。地域のつながりを深めるヒントをたくさん発見したようです。
※『ふるさとグングン! “人のつながり”で商店街の再生を~静岡・下田市~』(2018年10月21日放送)の内容をまとめたものです。

[動画]つながって商店街の再生を【2/3】商店街はテーマパーク!

秩父市の商店街を訪れた下田市商店街の人たち。訪問客に親切な案内板や街路灯、「一店舗2業種」の店が並ぶ様子に感心します。次に訪れた深谷市では、「若女将の会」のガイドで商店街をめぐるツアーに参加。店主との会話や試食、プレゼントを楽しんでもらい、商店街のファンを増やす試みです。最後に訪れたのは、商店街主催のワンコイン夕食会。大きな家族のように食事を楽しむ様子に、地域のつながりを深めるヒントをもらいました。

ふるさとグングン!
“人のつながり”で商店街の再生を~静岡・下田市~
(2018年10月21日放送)

8月下旬、下田の商店街の人たちは、車で5時間かけて、島田さんが店を営む秩父市に、視察に向かいました。参加したのは呉服店の高橋さんや、期待の若手、平山さんなど総勢10名です。

「みやのかわ商店街」にはおよそ100軒の店があります。
この商店街は、お客さんをもてなすための工夫でいっぱいです。

島田さん: 「たとえばこれ、開運案内板。こんなもの作っただけでも、観光客や来た人に楽しまれるようになったんです。」

案内板には、近くの駅などへの距離と、歩く時間が記されています。上に置かれているのは、干支の動物など。これに触れると御利益があると言われ、楽しみながら商店街を歩くことができます。

島田さん:「この街路灯もそうなんです。ナンバリングしてあるでしょ。たとえば30何番のところ 右に曲がればとんかつ屋さんがありますよ、とわかるようにしています。」

下田商店街の人たち:「あらゆる角度で親切な街作りをしているってこと?」「すごーい」

お客の身になって考える工夫は、店の中にもあります。
訪ねたのは島田さんの金物店です。中にあったのはなんと、クリーニングコーナー。これは、「1店舗2業種」と呼ばれる工夫です。客のニーズを捉えて、本業とは別のサービスを提供しています。

島田さん:「このへんにクリーニング屋がない。なかなかやってもらえる店がなかったから、じゃあ、うちに作っちゃえと」

みやのかわ商店街では、この他にも、化粧品店の一角に手芸用品を置いてみたり、お茶屋に様々な陶器を置くなどしています。こうすることで、店全体の売り上げも上がるといいます。

島田さん:「店に入って来る途中で、いっしょうけんめい見るでしょ、商品を。なんといっても店の中に入るチャンスを作ったということですね。」

島田さん、どうしても見せたい取り組みがあると、視察団を連れ出しました。やってきたのは秩父から車で一時間の埼玉県深谷市です。

「おはようございまーす」
「若いですねみんな」「若いどうしよ~」「黒いからサーファーですか?」

出迎えてくれたのは「深谷商店街若女将の会」。代表は和菓子店の岡部美雪さんです。若女将の会は商店街を盛り上げたいと、6年前に結成されました。若女将と店を巡るツアーが、人気を集めています。参加費は一人600円です。

岡部さん:「ふつう、初めて行くところって入りにくいんですよ。それを私たちがご案内を一緒にして、歩いていったら入りやすいのかな。そんなことで始めさせていただきました。」

岡部さん:「若女将と行く深谷商店街つれづれ歩きでございます。」
「せーの、レッツらゴー!はい、スタートです。」

このツアーの目的は、店ごとの良さを知ってもらい、商店街のファンを増やすことです。

岡部さん:「はい、こちら。めぐちゃん来たよ~。」

まず訪ねたのは、深谷で一番古い造り酒屋です。到着すると案内を店主にバトンタッチ。

店主:「当社は嘉永元年、1848年に良質な水を求めて、こちら中山道の深谷宿に蔵を建てて、生のお酒を買っていただけるようすすめている形になりますね。」

店主自ら、店や商品のウリをプレゼンします 。試飲もしてもらい、お酒の味を体感してもらいます。

「うまい!」

続いてやってきたのは、人気の鶏肉専門店です。

岡部さん:「本当に唐揚げおいしいんですよ。焼き鳥もおいしいし。私ね、双子を産んで、産んだときはすごく貧血がひどかったの。こちらのレバムシを食べて双子産みました」

地元のお店の魅力を、体験談を通して伝えます。こうすることで、ツアー客の信頼が得られます。

「中、見せてもらっていいですか?」

店主:「どうぞ」

若女将のトークに誘われて、店の中へ。

店主: 「うちの焼き鳥のたれで煮てある。タレは全部うちで作ってますので。」

「おいしそう」「これも食べたい」「鶏皮一つとレバ蒸し焼き」
さっそく、お買い上げです。

このツアーでは、店主と直接会話をして、人柄を知ってもらいます。それぞれの店主のファンになってもらい、ツアーの後も足を運んでもらうのが狙いです。

さらに、店ごとに配られるお土産も充実。家に帰ってからも、お店のことを思い出してもらうためです。眼鏡店では手作りのブローチをプレゼント。

「似合ってます」
「さすが、かなわないな」

2時間で10軒の店を回り、ツアーは終了。

岡部さん:「みなさん、お疲れさまでした」

下田の商店街の人たち:「ありがとうございました」

岡部さん:「商店街はテーマパークなんですよ。個々の店がパビリオンなんです。 そのパビリオンを紹介するのは私たちコンパニオン。紹介するときに周りのお店を知らなかったら紹介できないじゃないですか。あの人のお店で売ってるものだったら間違いないなと思って買っていただいたり、一人でも多くファンを増やす、という活動をしています。お互いに頑張りましょうね。」

島田さんは、最後に秩父市に戻り、視察団をあるレストランに案内しました。

「うわー!いっぱい!」「すごい!」

こちらは商店街主催のイベント。誰でもワンコイン500円で夕食が食べられます。参加できるのは、商店街の家族と地域の家族。そしてその知り合い。地域全体の交流が目的です。複数の飲食店を舞台に、2か月に1回開かれます。まるで大きな家族のように集まって食事をすることから、このイベントは「まるごと大家族」と名付けられています。

島田さん:「昔に比べれば地域コミュニティが希薄になってるじゃないですか。それを高めたい。それから、ふだん行ったことのない、知らないお店も気楽に入って、みんな和気あいあいとやる。地域のコミュニティ作りでやってるものです。」

店内の人:「地域の人たちが集まって。顔見知りですけどね、皆さん。一緒に飲むのは楽しいですよ。」

こうした交流は、下田の人と人とのつながり作りにも生かせそうだと、視察団は感じていました。

平山さん:「こういうふうに時間と日を決めて、それが定期的に行われれば、それがだんだん自然になって、(商店街の)コミュニケーション不足とか解消されるのかなって、ちょっと今思いました。」