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地域づくりナビ

小さい企業だからできること

小さい企業だからできること

2018年9月5日更新

地域の暮らしを支えてきた中小企業。
「三方よし」の精神を今に生かしています。

地域に必要なモノ・仕事の多くを提供してきたのは中小企業。まさに、地域経済を支える屋台骨のような存在といえます。人々の暮らしに密着して商売を営んできたからこそ、利益だけでなく、地域への貢献に取り組んできた会社も少なくありません。小さい地元企業ならではの活動に注目してみましょう。

地域に根を張り活力を生み出す

故郷の町が廃れていくのを見ているのは忍びないと、経営する企業の利益をつぎ込んで古い民家を買い取り、ショップや宿として再生している夫妻。経済活動と文化を組み合わせることによって地域の生活文化を伝える活動の一端は、若い世代の従業員も担っています。

古民家の暮らしがよみがえる鉱山の町

世界遺産に指定された石見銀山のふもとにある大森町。鉱山の閉鎖で廃れていたこの町を、古民家を再生してよみがえらせているのが、松場大吉さん・登美さん夫妻です。婦人服・雑貨を扱う企業を経営する傍ら、その利益で古民家を買い取り、カフェやショップに改修。古い物をただ保存するのでなく、新しい命を吹き込み、次の世代に渡そうとしてきました。松場さん夫妻の会社で働く若い世代も、地域の新しい担い手として活躍しています。

サキどり↑
美しき町並みを“暮らし”で復活
(2017年2月12日放送)

地域の信頼が会社の財産

地域の環境を悪化させると、かつて住民から激しく非難されたこともある産廃処理会社。環境に配慮したリサイクル会社に衣替えし、耕作放棄地で育てた野菜を食べてもらうなど、地道な取り組みを通して住民の信頼を得てきました。

地域で愛される産廃処理会社

地域の環境に悪影響を与えると敬遠されがちな産業廃棄物処理会社。埼玉県所沢市のこの会社では、「地域に愛される会社」を目指して、環境に配慮したリサイクル事業に転換。地域の清掃など、社長と社員が一緒に地域貢献に取り組んできました。さらに、リサイクルの工程を理解してもらうための見学コースを作り、地域の人々に開放。耕作放棄地で作った野菜を生かしたカフェなど、地域に根付いた活動を広げています。

首都圏ネットワーク
女社長の挑戦 産廃処理会社「地域で愛される会社へ」
(2016年10月18日放送)

人脈は力なり

尾道の特産品として大人気商品になった帆布製品。NPOを立ち上げて、廃れかけていた産業を復活させたのは、それぞれ別の本業をもつ自営業者の女性たちでした。商品化と販売の成功にこぎつけたのは、商売で培ってきた人脈のおかげ。地域に根を張る女性経営者のたくましさを感じます。

自営業の女性たちが生んだ新たな特産品

広島県尾道市の新たな特産品として人気を集めている帆布製品。開発したのは、商店街で喫茶店を経営する木織雅子さんです。地域の中小企業家同友会で、市内にただ一つ残った帆布の製造工場を見学したことをきっかけに、商品化を思いつきました。さまざまな本業を営む自営業の女性たちに声をかけ、帆布の魅力を伝えるNPOを結成。製品化も販売も、人脈を通じて周囲の人たちを巻き込みながら、仲間たちで夢を実現してきました。

21世紀ビジネス塾
非営利パワーがヒットを生んだ 尾道発 市民NPO奮闘記
(2004年10月22日放送)

地道な努力で雇用を作る

現在、日本全国の中小企業を悩ませている最大の問題が人手不足。そんな中でも高校生の県内就職率が高い地域を見てみると、常に一定数の求人を出したり、職業体験の場を提供するなど、安定した就職口となってきた企業の取り組みがありました。

高校生の県内就職を増やすには

高校生が地元企業に就職せず県外に出てしまうと、企業だけでなく地域の力も弱まってしまいます。高校生の県内就職率全国3位の石川県では、地元企業が景気に関わらず継続的に高校生を採用。2位の富山県では、中学生が地元企業で職場体験をする「14歳の挑戦」が、地域で働く意欲を高めています。高校生の県外流出が続いていた宮崎県でも、就職支援コーディネーターが活動を開始。保護者に地元企業の魅力をアピールしています。

NHKニュース おはよう日本
高校生の就職 どうする 若者の県外流出
(2016年11月13日放送)

村と森の未来を創る企業

安い外国産木材に押されて林業が衰退し、深刻な過疎化に直面していた西粟倉村。村の再生に向けて、生産の場を創り出そうと立ち上がったのがこの会社です。高品質の家具を生み出しながら森を守る夢のある仕事は、全国の若い人たちをひきつけています。

森林と地域経済を再生する地産の木製家具

村の面積の95%を森林が占める岡山県西粟倉村では、安い輸入木材に押されて林業が衰退、過疎・高齢化が深刻でした。そこで森林を活用して地域を元気にしようと、村と民間企業が共同出資で会社を設立。全国から若者をスタッフとして募り、木材生産から家具や建材づくりまで手がけることで収益を上げ、「ニシアワー」ブランドで販売。地域の木材加工場などでの雇用増にもつながっています。

サキどり↑
みんなで森をげんきにしよう!
(2011年6月12日放送)

おわりに
かつて近江商人が心得としていたという「三方よし」。目先の利益ではなく、長期的な視野から、売り手と買い手、さらに世間にとっても良い商いを、という精神は、これらの小規模な企業の中に今も生き続けているようです。消費者の側にも、安さだけでなく多様な面から企業活動を評価する視点が求められているのではないでしょうか。