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いま、団地がおもしろい!

いま、団地がおもしろい!

2018年4月6日更新

高度経済成長期に作られた団地。
ここから今、新しいコミュニティが生まれています。

高度経済成長期、数多くの人々が農村地域から都市へと移動するなかで、都市郊外では、大型団地の開発が次々と進められていきました。
新しいライフスタイルにあわせたモダンな設備で、当事は憧れの的だったという団地暮らし。しかし時代が移るにつれて、施設の老朽化と住民の高齢化が進み、空き部屋の増加が悩みのタネとなっています。
しかし今、ここから生まれる新しい都市のコミュニティが注目を集めています。団地を生まれ変わらせた各地の取り組みを見ていきましょう。

活動と楽しさを共有しよう

一緒に暮らしてはいても、多くの住民が顔を合わせる機会はどんどん少なくなっている、という団地が多いのではないでしょうか。そこで、みんなで楽しみの場を共有してみるのはどうでしょう。たとえば周辺に残る豊かな自然を生かすことが出来れば、ともに活動する機会とともに、多くの楽しみも得られるはずです。

都会で里山暮らし 住民自ら手入れする林

東京ドームよりも広い人工林を敷地内に持つ東京都板橋区の団地。住民に愛されている林の手入れのため、高齢者を中心とした住民によるボランティアグループ約100人が木の伐採や枝切りなどを週1回程度行っています。伐採した枝は林に返し、葉は堆肥に。木や枝は粉砕して敷地内にまいています。間伐材でキノコ栽培や炭焼きも行うなど、都会にいながらにして里山暮らしを楽しみ、住民同士の交流も生まれています。

地球だい好き 環境新時代
故郷は“都会の里山”
(2004年6月19日放送)

若者たちをひきつけるコミュニティ

楽しさをみんなで分かち合えば、そこからコミュニティが生まれます。老朽化した団地に若者たちをひきつけるのは、おしゃれにリフォームされた部屋ばかりではありません。ここでは、ピザパーティから広がる住民の輪が、引っ越してきた新しい住民を温かく迎え入れてくれます。

本格ピザパーティで団地再生

空き部屋が増える一方だった築40年超の団地。なんとか再生させようと、団地のオーナーと助っ人の佐伯さんが取り組んだのは、なんと本格的なピザが焼ける石窯作りでした。誰もが参加できるピザパーティーは、これまで近所とあまり付き合いのなかった住民たちが交流したり、入居に関心ある人たちが、どんな場所かを知る機会になっています。コミュニティーの存在が住居の新しい価値となり、全国から入居希望者が訪れています。

サキどり↑
ミラクルピザ!団地再生大作戦
(2016年11月20日放送)

高齢者が安心して暮らせる場所に

団地が作られた頃には想定されていなかった住民の高齢化。だからこそ、高齢者に安心な住環境づくりは大きな課題となっています。部屋のリフォームなどハード面の整備だけでなく、住民同士が助けあう関係があることで、最期までここで暮らし続けていけるという安心感が生まれます。

団地をリフォームして高齢者が安心して暮らせる住宅に

大都市で介護施設不足が深刻化するなか、住み慣れた地域で最期を迎えるための模索が始まっています。東京都日野市では、築50年の団地の空き部屋を高齢者向けにリフォーム。介護事業所も併設されているため、地域で作り上げてきた人間関係を維持しつつ、安心して老後の生活を送ることができます。さらに、住民同士で買い物代行など暮らしを支え合う活動も始まりました。

クローズアップ現代
安心できますか?大都市での老後~在宅ケアの新たな取り組み
(2015年10月14日放送)

互いに助けあえるコミュニティへ

住民の高齢化に孤立化が重なると、事態は深刻になります。孤独死が相次ぐようになった団地に、かつてのつながりを取り戻そうと決心した住民の一人、佐藤良子さん。自治会長に立候補し、子育て相談から高齢者の見守り、さらに葬儀の世話まで、住民同士が助け合う力を高めています。

ゆりかごから墓場まで支え合う団地

東京都立川市にある都営住宅「大山団地」では、孤独死が相次いだことをきっかけに、かつての近所づきあいを取り戻そうと住民たちが隣近所の見守り活動をしています。スローガンは「向こう三軒両隣」。生け花やカラオケなど180種類ものサークルを作るなど、都会の住民がつながり合える場を設けてきました。さらに、自治会では「団地葬」として集会所で低額の葬儀を開くなど、ゆりかごから墓場まで住民同士が支え合っています。

ふるさとの希望を旅する
“無縁”から“創縁”へ 都市の地域づくり
(2016年11月23日放送)

終わりに

多くの人たちがひとところに集まって暮らす団地。知らない他人とつきあうのは、時にわずらわしく感じられるかもしれません。でも大山団地の佐藤さんが言うように、人はひとりでは生きられないもの。見知らぬ人たちが何かをきっかけにつながるところから、みんなで楽しさを分かち合う、新しい都会のコミュニティの形が見えてくるかもしれません。