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言葉や文化の壁を越えて一緒に暮らす

言葉や文化の壁を越えて一緒に暮らす

2017年11月17日更新

手をさしのべれば、私たちの間にある違いを、
豊かさに変えていくことができます。

日本に暮らす外国人は、過去最高の230万人超。外国にルーツをもち、日本で生まれ育った子どもたちも増えています。
しかし同じ地域に暮らしていても、言葉や文化、生活習慣の違いのために、互いに接する機会はまだまだ限られています。相手を知らないままだと、誤解や偏見も生まれやすく、いっそう距離を広げてしまうことにもなりかねません。
同じ地域に暮らす仲間として、違う背景をもつ人たちとより良い関係を築くには、何から始めたらいいでしょうか?

まずは知り合う機会から

外国人住民が増えたこの地域では、まず、彼らが何に困っているのかをたずねることから始めました。いちばんの悩みが日本語の学習であることを知り、日本語教室を開くことに。生活の相談にも乗り、助けの手をさしのべることで、外国人住民も地域に貢献する関係が生まれています。

地域住民が講師の日本語教室

栃木県宇都宮市清原地区では、外国人住民のために、日本語教室を開いています。講師は日本人住民。イラストを使うため、外国語がわからない住民でも教えることができ、日本人と外国人との絆が深まっています。休憩時間は、自動車免許の書き換えや、子どもの学校から配布されたプリントの内容も教えたりと、生活相談にも乗っています。外国人居住者もゴミの出し方を外国語で書いた看板を設置するなど、日本人との共存を図っています。

難問解決!ご近所の底力
どうする 外国人とのご近所づきあい
(2003年12月11日放送)

声を出しやすい工夫を

とはいえ、外国人住民は数の上では圧倒的にマイノリティ。言葉や習慣の壁もあり、地域の中で日本人住民と対等に接することは、難しい場合もあります。そこでこの団地が作ったのが「国連」。出身国ごとに意見を吸い上げて総意を伝えることで、日本人住民が一方的にルールを押し付けるのでなく、外国人住民が意見を述べやすくなり、トラブル解決にもつながっています。

「国連部」で多文化共生の環境づくり

神奈川県平塚市の県営横内団地では、住民1,400人のうち、200人が外国人。アジア、南米、中東、ヨーロッパなど、12か国の出身者たちがいます。そこで、12か国の代表によって作られたのが、国連部。定期的に会合を開き、決まったことを外国人の総意として自治会へ伝えています。ルールを押し付けがちな日本人に対等な立場でものが言える仕組みです。国連部のおかけで外国人と日本人が共生しやすい環境が生まれています。

難問解決!ご近所の底力
どうする 外国人とのご近所づきあい
(2003年12月11日放送)

子どもたちには特別の配慮を

特にたいへんな思いをしているのが外国人の子どもたちです。義務教育の対象外とされているために就学の機会を失ったり、日本語がよくわからないために授業についていけず、いじめにあうなどして、不登校になってしまうことも多いのです。いくつかの地域では、専門コーディネーターや、バイリンガル教員を採用して、外国にルーツをもつ子どもたちの学習を支援しようとしています。

外国人の子どもたちの不就学をなくせ

学校でいじめられたり、入学の機会がなかったために、就学していない外国人の子どもたちがたくさんいます。岐阜県可児市では、専門のコーディネーターが、転入時に入学手続きを詳しく説明。入学前に日本語を学ぶ教室も開き、学校への橋渡しをしています。群馬県太田市では、7人のバイリンガル教員を採用し、授業についていけないブラジル人の子どもたちの学習を支援。子どもたちひとりひとりの学力に応じた指導をしています。

クローズアップ現代
私も学びたい 外国人“不就学”の子どもたち
(2005年5月26日放送)

外国ルーツの若者たちは地域の担い手

2つの文化と言語の間で、苦労することも多い外国人の子どもたち。彼らが地域の一員として受け入れられ、ルーツを尊重されながら育つことは、地域にとっても大きな財産となります。
高齢化が進むこの団地では、ここで生まれ育った若者たちが、今や地域活動の担い手として力を発揮しています。言葉や文化の違いがあっても、互いに理解し助けあってきた経験が、若者たちを大きく成長させてきたようです。

外国にルーツを持つ若者たちが地域の支え手に

横浜市の「いちょう団地」は、住民の4分の1が外国出身。自治会と小学校を中心に、外国人と日本人が共生できるコミュニティ作りに20年以上取り組んできました。今、高齢化の進む団地を支えているのは、ここを故郷として成長した外国人の若者たち。成長を支えてくれた日本人や仲間たちの影響を受けて、今度は自分たちが地域の支え手になろうと、自治会活動や防災活動、日本人と外国人をつなぐ通訳として積極的に活動しています。

特報首都圏
“多国籍”いちょう団地のいま~横浜・共生への20年
(2014年4月25日放送)

言語や文化の違いは、しばしば「壁」といわれます。でも見方を変えれば、壁は、違う文化への入り口にもなります。さまざまな違いをもつ人たちを、地域の一員として受け入れ、助け合いながら理解していくこと。それは、地域をより豊かに、力強くしてくれるはずです。