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地域づくりナビ

“子どもの未来”は“地域の未来”

“子どもの未来”は“地域の未来”

2017年3月13日更新

家族と学校だけで子どもを教育するのではなく、
地域のみんなで育てていく。

子どもは、生まれてくる環境を選ぶことは出来ません。また、どんな厳しい状況でも異議を唱えることも出来ません。そうであるからこそ、私たち大人は懸命に、子どもたちの“声なき声”に耳を傾けなくてはなりません。全国のさまざまな地域で、自分たちのできることを見つけ、取り組みが始まっています。
まずは、「子どもの貧困」についての取り組みです。内閣府の発表によると、子どもの相対的貧困率はこの30年の間上昇し続けています。2012年時点の数値は16.3%、およそ6人に一人の子どもが貧困状態にあります。特に、「ひとり親の家庭の貧困率」は、先進国が集まるOECD(経済協力開発機構)加盟国のうち日本が最下位です。子どもの貧困は“見えにくい”といわれます。家庭できちんと食事をとれない一方で、一見すると他の多くの子と同じような服を着て、ゲームを持っている子もいるからです。東京都豊島区では、そんな子どものために、地域で食事を提供し始めました。

地域で子どものために“食事”を提供する

豊島区にある、地域の子どもならば誰でも入れる食堂。運営しているのはNPO法人を中心とした地域住民たちで、月2回オープン。子どもたちは調理や配ぜんなど手伝いをすれば無料で食事ができます。家計が苦しく食事を十分に食べられない子どもたちにとって、栄養バランスのとれた食事をおなかいっぱい食べられる場所です。同時に、みんなで食卓を囲む楽しさを味わえ、子どもたちの心の栄養にも寄与しています。

NPOによる無料の子ども食堂 ~東京都豊島区~

「子ども食堂」は“支援の入り口”としての役割も果たしています。子どもはトラブルを抱えていても行政の窓口に駆け込むことはありません。食事を食べにやってくることをきっかけにして、地域の大人とのつながりを作り、大人が異変に気づく。それが結果として、セーフティネットとして機能しているのです。こうした「子ども食堂」の取り組みは、全国に広がっています。
続いては、地域が子どものために「遊び場」を提供する、東京都世田谷区の取り組みです。

子どもの「遊び」を地域で見守る

火遊び禁止、木登り禁止。公園には「子どもの安全」を理由に、たくさんの禁止事項があります。子どもたちが、おもいっきり火遊びや木登り、泥んこ遊びなどをして育つ環境を取り戻そうと作られたのが、東京都世田谷区にある「羽根木プレーパーク」です。そのモットーは「自分の責任で自由に遊ぶ」です。ナイフや工具を「危険だから」と禁止したり、取り上げるのではなく、遊びを通して安全な使い方を覚えられるよう、大人のプレーリーダーたちが見守っています。

自分の責任で自由に遊ぶ禁止のない公園 ~東京都・世田谷区~

子どもは「遊び」を通じて、さまざまなことを「学習」します。「子どもの安全」を理由にした公園などの禁止事項は、子どもたちから「学習する機会」を奪ってしまうという側面もあります。プレーリーダーは、子どもを管理したり、教えを一方的に押したりするのではなく、子どもの安全に配慮しながら、一緒に遊んだり、学びを見守り、時には人生の先輩として、子どもの相談役にもなります。子どもは自分が信頼できると思った大人には本当の胸のうちを明かしてくれるのです。
次は、不登校、家庭内暴力など、さまざまな不安や困難を抱えている子ども相談窓口で“待つ”のではなく、現場に“出かけて”いって支援する佐賀県のNPOの取り組みです。

アウトリーチ 出かけていって支援する

ひきこもり、家庭内暴力、不登校など、生きづらさを感じ悩んである子供や若者への支援活動を行う佐賀のNPO「スチューデント・サポート・フェイス」の代表・谷口仁史さん。若者たちは社会や家族からも孤立している場合が多く、自分からはSOSを出せずにいます。谷口さんのNPOでは関係機関と連携し、さまざまな制度を活用して情報を入手。相談窓口で待つのではなく、本人の家などの現場に向かい、自ら積極的にアプローチし、若者たちに寄り添いながら、社会への復帰や立ち直りを支えます。

子ども・若者訪問支援 ~佐賀県~

子どもは誰でも「地域」の中で生まれ、育っていきます。地域住民と学校が手を取り合って進めていく新しい教育を提唱している、島根県教育魅力化特命官の岩本悠さんは、子どもたちが成長過程の中で地域で果たすべき役割について、4つの英語の前置詞を使って次のようにまとめています。幼稚園・保育所では「地域の中で(in)祭りや自然などを体験する」、小学校では「地域について(about)知る」、中学校では「地域のために(for)行動する」、高校では「地域とともに(with)自分の未来を描く」。地域のことを小さいころから知っている子どもたちは、何が地域の課題なのかについて自然に関心を持ち、将来的に地域の課題解決に積極的に関わり、それを仕事とする人材になる可能性があるというのです。最後は、岩本さんたちが島根県海士町で実践している取り組みです。

地域課題の解決策を考える“教育”

中学生が、住民の話を聞きながら地域の宝物を発見する「海士の宝さがし」や、高校生が地域の抱える課題を一つ選び、その解決策を考えていく「地域学」など、県立隠岐島前高校のある島根県の離島、隠岐・海士町の新しい取り組みが注目されています。島根県教育庁教育魅力化特命官の岩本悠さんは、子どもたちが、地域の抱える課題を「自分ごと」として捉え、解決策を考えていくことが大切だと言います。

町の課題を「自分ごと」に 地域で子どもを育み地域をつくる教育 ~島根県海士町~

海士町では、宴席の最後に、みんなで「ふるさと」という歌を合唱することが多いと言います。「ウサギ追いしかの山、小鮒釣りしかの川」と始まるあの歌ですが、海士町では「志を果たして、いつの日にか帰らん」という歌詞を「志を果たしに、いつの日にか帰らん」と歌うそうです。
“地域の未来”を作っていくのは子どもたちです。子どもたちの”今”を大切にし、抱えている課題をひとつでも多く解決していくことが、よりよい“地域の未来”につながっていきます。