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「助けられる」立場から「助ける」立場に

「助けられる」立場から「助ける」立場に

2017年2月13日更新

助けられることは、幸せです。そして人から必要とされ、助ける側に回ることも、幸せです。

“お年寄り”、“病気を抱える人”、“障害のある人”、“災害などにあった人”、“さまざまな理由で生きづらさを感じている人”。私たちは、一定の“支援”を必要とする人たちと共に、この社会で暮らしています。そして、そうした状況の中で、“当たり前”の暮らしを営むことすらままならないという人たちも少なくありません。
しかし、適切な“支援”を受けることによって、その人が暮らしを取り戻す道筋を見出し、やがては“支援”も必要としない状況にまで持っていくことができるのです。ここでは、地域の中で「助けられる」立場にあった人が、“支援”によって自分らしさを取り戻し、今度は「助ける」立場になったという、秋田県藤里町の取り組みをご紹介します。

「ひきこもり」だった人たちが町おこしを担う

実態を掴むことが難しいとされるひきこもりの問題。秋田県藤里町では、社会福祉協議会が全戸調査を実施。人口3600の町で100人以上がひきこもっていることが分かりました。そこで町では、多種多様な働く場を用意。草取りや雪かきなど小さな仕事を始め、そば店などの従業員、社会福祉協議会の職員として町の特産品作りを担う人材まで現れました。働き始めた80人以上の元ひきこもりの人たちは、今、町おこしの“希望”になっています。

町おこしを担うひきこもり ~秋田県藤里町~

続いては、「助けられる」立場にある人同士が、お互いに「助け合う」という関係を築いている富山市の取り組みをご紹介します。

お互いに“支え、支えられる”

富山県富山市にあるデイケアハウス「にぎやか」は、赤ちゃんから高齢者まで、障害のあるなしに関係なく、誰もが利用できる施設です。認知症のお年寄りを障害者の男性が手助けするなど、支え、支えられ、その人らしい、ありのままを受け入れる場になっています。富山市では「にぎやか」を拠点に、誰もが安心して暮らせる地域づくりが実を結んでいるのです。

親子じゃないけど、家族です 富山型デイサービス ~富山市~

一方が「助ける」だけではなく、お互いに「助け合う」ことができる。ご紹介した秋田県藤里町と富山市のケースでは、地域のみんなが互いの存在を尊重し、それぞれができることを見つけ、具体的な行動で実践してきました。そのカギとなっているのが、それぞれが「役割」を持ってその「役割」を果たすことを通じ、「人の役に立つ」という喜びを実感できていることです。
「人の役に立つ」、その方法は人によってさまざまです。病気にかかったり、事故や加齢から障害者になったり、大きな災害にあったり。そうした場合、残念なことに、これまでできたことが“できない”状態になることがあります。しかし、逆に“そうした経験をしたからこそわかること、できる役割もあります。厳しい経験から得た教訓を、同じ境遇で困ったり、悩んでいる別の人たちと分かち合うことで、貴重な財産として社会に還元し、多くの人のために役立てることができるのです。
次は、統合失調症の「当事者」が、自分自身も苦しんだ経験を元にして、障害のある人たちを支えている動画です。

統合失調症の「当事者」が別の「当事者」を支える

富山県館山町の「いい茶屋」は、お年寄りや障害者がともに過ごす富山型デイサービス施設。ヘルパーとして働く清水崇宏さんも統合失調症です。体調が悪いと寝込んでしまう時もありますが、スタッフやお年寄りは「そのままでいいちゃ」と見守っています。妻の利恵さんとともに地域で介護の仕事を始めて、自分たちも地域に支えてもらっているといいます。自分自身も苦しんだ経験から、障害のある人たちを支えています。

統合失調症のヘルパーが障害をもつ人たちを支えるデイサービス施設 ~富山県館山町~

病気や障害のある「当事者」だけでなく、災害に見舞われた「当事者」の中にも、自らの被災経験を生かして、同じような境遇にある人を支えようと取り組む人がいます。

「被災者」だった人が「地域を支える人」に

阪神淡路大震災によって自らも被災しながら、すぐに住民ボランティアを組織し、自分たちの力でさまざまな課題に立ち向かってきたNPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸の中村順子さん。手がける事業内容は、高齢者のための水汲み代行、病院への送迎、炊き出し、さらに仮設住宅での孤独死を防ぐための交流サロンづくりなど多岐に渡ります。震災をきっかけに始まったこれらの活動は、15年以上経過した現在も、形を変えながら地域を支えるコミュニティ事業へと発展しています。

災害復興ボランティアからコミュニティ事業へ ~兵庫県神戸市~

「弱者」という人はいません。ある時、ある状況下でたまたま「弱者」になってしまうだけなのです。誰でも“年をとったり”、”病気になったり”、”障害者になったり”、”災害にあってしまったり”することはあります。そうした中で「困った時は“おたがいさま”でいける社会」を、どうすればつくりあげていくことができるのか。今回、取り上げた4つの事例から、私たちは、安心して暮らせる地域を築くための、大きなヒントを得ることができるのではないでしょうか。