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お金は地域を回すためにある

お金は地域を回すためにある

2016年11月21日更新

お金は地域を回すためにある

お金を稼ぐために長時間働き、将来の不安に備えてせっせと貯金。自分がお金にふり回されていると感じている人も、現代社会には多いのではないでしょうか。でも本来お金とは、人間の幸せを実現させるためのツールの一つであったはず。さまざまな人たちの異なるニーズや活動を結びあわせ、資源をうまく回していくための手段だったはずです。
消費や利益のためではなく、地域の課題解決のために、幸せのツールとしてお金を生かしている取り組み例を、動画で見てみましょう。

ふるさと納税は使い方しだい

最近では返礼品競争の行き過ぎが問題になっている「ふるさと納税」。その一方で、ふるさと納税の制度を使って、地域を超えて人々の思いをつなぐことができて、集まったお金以上の価値を生み出すこともできる、そんな取り組みが進んでいる町があります。
埼玉県宮代町がこのプロジェクトのために募ったお金は500万円。実現した都会の貴重な雑木林は、お金には代えがたい価値を地域にもたらしています。

ふるさと納税で雑木林を整備

埼玉県宮代町には、都会では貴重な雑木林がありましたが、荒れ果てた状態で、整備には500万円が必要でした。せっかく整備するなら、多くの人の共感を呼び利用してもらいたいと考え、目をつけたのが「ふるさと納税」。ホームページで、雑木林を整備する目的やその後の利用法を明確に記して寄付を募ったところ、わずか2か月で目標額をはるかに超える金額が集まりました。林は今、市民の貴重な憩いの場となっています。

クローズアップ現代
ふるさと納税 ブームが問うものは
(2015年1月26日放送)

さらにこちらの北海道東川町では、地域の外の人たちにも関わってもらいながら長期的な町づくりを進めていくために、ふるさと納税を利用しています。お金とモノを一度交換して終わりではなく、関係を育てていく種にもお金はなるんですね。

ふるさと納税で長期的な町づくり

人口8000人の北海道東川町。地方交付税交付金が減額される中、外の人たちの力を借りながら長期的に町づくりをしていこうと、お礼の特産品に頼ることなく、「ふるさと納税」の仕組みを積極的に活用しています。地元のぶどうを使ったワインづくりや森づくりなど、長期的事業に寄付を募りました。寄付者には事業の達成具合を見に来てもらうために、航空券や宿泊費を補助。その結果、観光や移住で町を訪れる人たちも増えています。

クローズアップ現代
ふるさと納税 ブームが問うものは
(2015年1月26日放送)

人をつなぎお金をまわす

地域課題に取り組むNPOにはお金がなく、一方、寄付によって社会に貢献したい企業や市民はどこに寄付をしていいかわからない。そんなときに両者をつなぎ、お金を必要なところに流すしくみが「市民ファンド」です。地域の課題を解決するために、それぞれができるやり方で、同じ目標のために協力しあう関係が生まれています。

NPOと市民・企業をマッチングする市民ファンド

地域の課題解決に取り組むNPO。しかし問題は活動資金です。そこで力を発揮するのが「市民ファンド」。寄付金を集めたいNPOと、社会貢献したいと思っている市民や企業、双方の希望を聞いて、間を取り持ちます。京都では、認知症患者の支援に取り組むNPOと地元のワイン業者がつながり、沖縄では、子育て支援NPOと自動車販売会社とがつながりました。市民ファンドは、人をつなぎお金を回す、地域の重要な存在となっています。

サキどり↑
地域の問題は地域のお金で解決!市民ファンド
(2012年5月20日放送)

市民がつくる銀行で地域の課題解決

ふつうの銀行が事業への融資を決める基準は、利益が出るかどうか。でもこの銀行が注目するのは、地域課題の解決にいかに取り組んでいるかです。お金を増やすことを目的にしない銀行は、地域の中でお金を生かすことで、より大きな価値を生み出すことができるんです。

NPOバンクの支援で重度障害児のためのデイサービスを開設

名古屋のNPOバンクmomoは、市民からお金を募り、銀行から融資を受けられないNPOなどが地域で行う事業に対して融資を行っています。全国でも珍しい重度身体障害児のためのデイサービスをつくろうとしたNPOは、銀行に融資を断られましたが、momoの支援で無事、開設にこぎつけることができました。momoのボランティアスタッフも、融資先NPOの活動を支え続けます。

ハートネットTV
未来へのアクション 「“志金”の力で地域を豊かに!」
(2013年7月30日放送)

お金を地域の外に出さずに内部で回す

お金が必要なときに、借りるという手段もありますが、自分たちで工夫して、お金を生み出している地域もあります。多くの場合、地域活性化に向けた活動をしたくても資金は不足しがちで、簡単には貸し手も見つかりません。
そうした課題を見事に乗り越えたのがここ、岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)地区です。エネルギー自給に踏み切ったメリットは、これまで電力会社に支払っていた1200万円の節約にとどまりません。売電収入を得て、それまでは外部に流れ出していたお金を地域の内部で循環させることで、食糧生産や人の流れにも変化を生み出していったのです。

集落存続への再生可能エネルギー

岐阜県郡上市石徹白地区では、豊富な水資源を利用した小水力発電が地域の再生につながっています。集落の主婦が地元食材を使ったレストランをオープンするなど新たな動きが生まれたほか、休眠していた農産物加工所も復活。規格外の農産物を加工することで、農家の収益にもつながっています。集落のほぼ全世帯が出資して設立した組合で発電所をつくったことで、電力の地域自給率は100%超に。小水力は地域づくりの希望となっています。

TVシンポジウム
いま“地域づくり”を語り合う
(2016年6月25日放送)

経済評論家の内橋克人さんは、現在のマネー資本主義は、人がよりよく生きて暮らすためではなく、お金がお金を生み出してどんどん増殖するためのシステムになっていると批判しています。(インタビュー記事「いまこそ「人と人とが共生する経済」への転換を。」
お金本来のあり方を求めて、地域の中にある資源と人々の活動を効果的につなげるための潤滑油としてお金を生かす。その動きはすでに、さまざまな地域の中で始まっています。

さらに関連動画を見る  ・NPOバンク