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災害復興とつながりづくり

災害復興とつながりづくり

2016年11月21日更新

復興とは、コミュニティを見直し、
つながりを作り直す機会でもあります。

思いがけない時にやってくる地震や豪雨。これまで例のなかった大規模災害の発生が全国で増えています。
個人の努力だけではどうにもならない、そんな時こそ実感されるのがコミュニティの力です。阪神・淡路大震災や東日本大震災では、それまで助け合って暮らしていたコミュニティから切り離されてしまったことが、弱い立場にある人たちの状況をいっそう困難にしたと指摘されています。
一方で、被災地の仮設住宅や復興公営住宅などでは、復興から取り残されがちな人たちに寄り添い、薄れていた人々のつながりを取り戻すことから、新しい地域のセーフティネットを築き上げようという取り組みも、数多く行われてきました。その経験の中から、災害に強い地域をつくるヒントを探ってみましょう。

誰もひとりぼっちにしないコミュニティづくり

阪神淡路大震災では、住み慣れた地域の関係がバラバラになってしまったことから、社会とのつながりを失い、仮設住宅や復興公営住宅で孤独死するお年寄りが相次ぎました。お年寄りの孤独死を防ごうと始まった住民たちの見守り活動は、その後、地域に埋もれたさまざまな課題を発見し解決するネットワークへと発展しています。

住民のつながりで ひきこもりなど地域の課題を解決

「ひきこもり」問題を例に、地域の課題を解決する大阪府豊中市の取り組みを紹介します。豊中市社会福祉協議会の勝部麗子さんたちは、阪神・淡路大震災の後、復興公営住宅などでの孤独死を防ぐため、見守り活動を開始。被災者だけでなく、地域の中に埋もれていたさまざまな課題を発見していきます。従来の福祉制度では対応できない「制度の狭間」にある課題を発見・共有・解決する仕組みをつくりあげてきました。

明日へ 支えあおう 復興サポート
人と人のつながりが命を救う ~岩手・釜石市 Part4~
(2015年4月19日放送)

豊中市の経験に学び、岩手県釜石市でも、住民ボランティアの「世話焼きさん」たちを中心に、自分たちの手で孤独死を防ぐための活動が始まりました。

孤立するお年寄りをつくらない街を住民の手で

東日本大震災直後から仮設住宅での孤独死が課題だった岩手県釜石市。過去の「復興サポート」で住民たちは大阪府豊中市の孤独死防止の取り組みを学び、自分たちの地域でも活動を始めました。サロンにお年寄りを招いて楽しんでもらいながら地域の困りごとを聞き取ったり、高齢者宅を訪問してごみ出しや生活の困りごとの手伝いをしたりと、孤立するお年寄りをつくらないための住民ボランティアの取り組みが広がっています。

明日へ つなげよう 復興サポート
自分たちで描く ふるさとの未来
(2016年3月6日放送)

新しい住民たちの孤立を防ぐ

災害によって住みなれた地域を離れなければならなくなった人たちは、多くの不安を抱えて新しい土地にやってきます。この団地では、福島の被災者たちが少しでも早くなじんで生活再建に取り組めるように、配慮しながら受け入れています。

広域避難者のつながりをつくる

東京都中野区の都営住宅では、福島からの避難者を中心に、およそ100世帯250人を受け入れています。帰還することも定住する決断もできず、悩みを抱えて孤立しがちな避難者たち。この都営住宅では、毎週交流サロンを開いているほか、戸別訪問して声かけを行ったり、イベントを開催して、つながりを作ろうとしています。避難者も支援されるだけでなく、地域の一員として役割を担うようになっています。

明日へ 支えあおう 復興サポート
二つの”故郷”を生きる ~福島・広域避難者~
(2014年7月20日放送)

こちらのコミュニティでも、新しい住民たちが地域の輪の中にすぐに溶け込めるようにと、いろんな工夫をしています。こんなふうに歓迎してもらえると、ほっとしますよね。大きな災害が起きた時だけでなく、普段の生活にも役に立ちそうな優しい配慮がされています。

誰も孤立しない災害公営住宅を目指して

岩手県大槌町の住民が、仙台市鹿野地区にある災害公営住宅を視察しました。ここでは、新たに移り住んでくる人を地域の輪の中に受け入れようと、さまざまな工夫をしています。近くの病院や学校、商店などを記した「ウエルカムマップ」を手渡し、住民同士が集うイベントも企画。各階ごとに回覧板の配布や見守りなどを担当する世話係を設け、孤立する人が出ないように住民のつながりを強めています。

明日へ 支えあおう 復興サポート
命を守るコミュニティーを作ろう ~岩手・大槌町part2~
(2015年12月6日放送)

災害復興から地域づくりへ

このように、災害という経験は、ふだんは意識しない地域のセーフティネットの大切さを意識し、住民たちが主体的に地域の課題解決に取り組むきっかけにもなります。
たとえば神戸市の中村順子さんは、災害時のボランティア活動から、地域を支えるコミュニティ事業を発展させてきました。

災害復興ボランティアからコミュニティ事業へ

阪神淡路大震災によって自らも被災しながら、すぐに住民ボランティアを組織し、自分たちの力でさまざまな課題に立ち向かってきたNPO代表・中村順子さん。高齢者のための水くみ代行、病院への送迎、炊き出し、さらに仮設住宅での孤独死を防ぐための交流サロンづくり。震災をきっかけに始まったこれらの活動は、15年が過ぎた現在、形を変えながら地域を支えるコミュニティ事業へと発展しています。

明日へ 支えあおう 復興サポート
故郷のため 自分たちで出来ること ~岩手・大槌町~
(2013年1月27日放送)

いま、東北の被災地では、苦しい経験をばねに、各地でつながりをつくりなおす活動が始まっています。いざという時に助け合えるためには、ふだんからのセーフティネットづくりこそが大切。被災地などの経験をもとに、コミュニティを見直してみてはいかがでしょうか。

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