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持続可能な地域づくりへ!LOHAS & Sustainable style

日本にLOHAS(ロハス)を紹介した先駆者・大和田順子さん。人・地域社会・地球が健康になれる取り組みの最前線リポート。

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2016年11月08日 (火)

両合棚田再生プロジェクト報告(第4回)-10年ぶりの黄金の稲穂-

無事実りました


早いもので「両合棚田」の稲刈りも無事に終了することができました。9月24日に大分大学の大学生と地域の人たちにより稲刈りを行いました。

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10年ぶりに復田した田んぼ、石井康美(こうみ)さんの毎日朝晩欠かさずの見回りのおかげか、鹿も遠慮したのか、幸い獣害もほとんどありませんでした。
「今年は農薬も化学肥料も使わなかったよ。ドジョウが出てきたのには驚いた」と石井区長さんが嬉しそうに話してくれました。
水を抜いた田んぼですが脇の水路を探してみると確かにいました。ドジョウ!

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石橋の両合橋を挟んで広がる棚田のはさ掛けの風景、かつては写真撮影の人気スポットでしたが、高齢化や獣害の為に徐々に耕作をしなくなり、今年初めには8割が耕作放棄状態でした。近年は写真愛好家からも「せっかく足を運んだのにがっかりした」と言われていたそうです。

それを「世界農業遺産(ジアス)」に認定された地域として、美しかった農村風景をなんとか取り戻そう!と地域の人たちが立ち上がり、獣害対策の勉強会や、大分大学の学生さんらの協力を得て田植えをしたのでした。
そして、この秋、10年ぶりに、10年前の美しかった景観を、一部ではありますが取り戻すことが出来たのです。



うさジアス講座


宇佐市には「安心院(あじむ)」という地域があります。両合棚田のある「院内(いんない)」とは別な自治体でしたが、市町村合併で宇佐市になりました。安心院は国内有数の“グリーン・ツーリズム”の先進地域で、農家民泊には年間に1万人を超える修学旅行生や国内外からの来訪者を迎えています。

宇佐市では今年度「両合棚田再生プロジェクト」と共に「うさジアス講座」というものも開催しています。
こちらは地元の女性たちに“ジアス”の活用法を考えてもらおうという趣旨です。参加者は安心院で農家民泊を20年以上行っている方、お菓子の加工販売をされている方、若い農家のママや、農村暮らしに興味を持っている方などが参加しています。もちろん、両合棚田の石井康美さんも参加しています。

研修は郷土料理やシイタケ料理などを通じた食育活動に、お母さまの代から取り組んできた神谷禎恵さんの「生活工房とうがらし」を拠点に行っています。座学、調理教室、そして両合棚田や安心院のフィールドワークも行いました。

郷土料理では「カチエビちらし」「みとりおこわ」や、原木乾シイタケを一晩水でもどしてじっくり炊いた煮物などを皆で作りました。ちなみに「カチエビちらし」とは、地元産の“カチエビ”という乾燥したエビを混ぜたチラシ寿司、「みとりおこわ」は在来種の豆である“みとり豆”を炊き込んだおこわです。いずれも昔からこの地域の家庭で作られてきたお料理だそうです。若いママさんたちも熱心に作り方を学んでいました。

20161104_004.jpg 生活工房とうがらし 神谷さんによる郷土料理

20161104_005.jpg 「うさジアス講座」でアイディアを書きだす参加者

安心院で農家民泊を行っている時枝(ときえだ)さんや河野(かわの)さんらは、「ジアスツーリズム」を実践していこうと考えています。来訪者や滞在される方に体験を通じて、美味しくて健康にも良い原木乾しシイタケがどうやってできているのか伝えます。シイタケの原木となるクヌギ林、ほだ場、こまうちなど、都市の人にとっては珍しいものばかりです。


生きものにも環境にも良いクヌギ林


原木シイタケのほだ木であるクヌギは15年に一回伐採され、ほだ木になります。それによりクヌギは萌芽更新(脇から新芽が出て木が育つ)して新たなクヌギ林が15年で再生する循環型の林業です、若い森は温暖化の原因である二酸化炭素を固定する効果もあります。また、クヌギの落ち葉が豊かな土壌を作り、それがため池や川を伝って美味しいお米を作っていることなど伝えていきたいと願っています。

20161104_009.jpg クヌギ林とため池(国東市松ヶ迫)

11月1日には国東半島で開催される「国東半島宇佐地域世界農業遺産シンポジウム」にて「両合棚田の再生」や「うさジアス塾」のことを神谷さんと共に報告しました。パネリストには宮崎から国東に移住して「シチトウイ(七島藺)」工芸士になった岩切千佳さんも参加、「女性視点での世界農業遺産の活用」について語り合いました。女性たちが暮らしや食を通じてジアスを広め、実践することで、これからも国東半島宇佐地域の豊かで美しい農村の景観を受け継いでいかれることでしょう。

 


この連載も早いもので半年が経ち、私の担当は終了となりますが、両合棚田の再生は始まったばかりです。来年以降の復田や周辺で取れる農作物の活用法などアイディアを練っているところです。そして何より、石井康美さんの農家民泊のチャレンジ、早ければ来年春には民泊を始めることができるかもしれません。最初の宿泊者になりたい!と今から予約のお願いをしているところです。


20161104_007.jpg 「農泊にチャレンジしたい」石井康美さん



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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コメント(1)

国東町出身の私ですが、同級生やお友達が大変活躍されてるのでとても嬉しいですね。
国東の原風景、そしていつまでも残していきたいと食文化、これからも福岡から応援したいと思います!

投稿日時:2016年11月09日 07時11分 | 佐藤和彦

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大和田順子さん(サステナブルコミュニティー研究家)

百貨店、環境コンサルティング会社等で約20年のソーシャルマーケティング実務を経て、2006年に一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス設立。年間150日を各地の農山村で地域の人々と過ごす。企業と地域をつなぎ課題解決を目指すCSVプロジェクトをコーディネート。有機農業・生物多様性を核としたコミュニティデザインで地域創生に取組む。農林水産省世界農業遺産専門家会議委員、総務省地域資源・事業化支援アドバイザーなどを務める。

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