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2016年07月29日 (金)

特別養護老人ホーム「園田苑」ボランティア・坂本敬子(としこ)さんのお話(後編)

特別養護老人ホーム「園田苑」ボランティア・坂本敬子(としこ)さんのお話(前編)はこちらから

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ボランティア活動を始めて間もないころの坂本さんと中村大蔵さん(右端の男性)


私たちがこうして28年間もボランティアを続けてこられた要因の一つは、「園田苑」という施設がすごく開放されていて、いろんな方が見えても、本当に分け隔てなく自由にお話ができたりという環境があったからなんですよね。年に一回は必ず研修会があって、いろんな先生のお話をうかがい、勉強もさせてもらえました。家で主婦として過ごした28年間だったら会えなかったような方たちに、もう本当に数え切れないほど会えています。

そのひとつが、韓国のハンソ大学の方たちとの出会いです。ハンソ大学の実習生を、「園田苑」が受け入れているんですね。その実習生たちといろんなお話をしたり、歓迎会とかをやって教授とも親しくなって、その実習の十年目に、恩返しがしたいからとハンソ大学に呼ばれたんですよ。7人の仲間と行って、私は「園田苑」でのボランティア活動を紹介してしゃべったんです。それから、ハンセン病のことも、中村さんが熱心にお話をしてくだり、私も一緒について行って、元ハンセン病の方たちとお話があったり、交流があったり、繋がりがあって。仲間の中でも、電話とか年賀状のやり取りとか、そういうことをしている方がいますね。

そういうことって、多分、「園田苑」に関わっていなかったら、知らないままに過ぎたかもしれないんですよ。ハンセン病のことなんて特に。でも、そういうことを知って、実際に現地に行ってその方たちと会うことによって、自分の関心の持ち方がずいぶん上がりました。そして、その方たちと少しでも交流を持ちたい、そういう人たちがもう少し外に出やすい、住みやすいものができれば―と思うようになりました。そんなに大したことができるわけではないですけれど、私のできる範囲でやりたいというのはありますね。

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中村さんの言葉から、ボランティアとして、地域の一員として、何をすべきか見えてきた―


よく、後継者の問題を聞かれますが、もちろん新しい方に入っていただいて一緒にボランティアをできればいいことなんだけれど、それを無理強いしなくても、そういう地域を作り、そういう私たちを見ている人たちが増えれば、自ずとして関わってくれるようになるだろうと。ちょっと期待も含めてですけれど、そういうふうに思っていますので、敢えて「入って、入って」というような呼びかけは、あまりしないできました。けれども、何か催しがあって、ちょっと人が足りないとか、ちょっと出てもらったほうがいいと思う時には声をかけます。そうしたら来てくれますよ。我々がね、楽しそうにやっていることが大事なんです。ある会員さんが娘さんから言われたそうです。「お「母さんは『ボランティアしてる』って言うけど、喜んで楽しんでやってるから続くんじゃない」って。私たちは「楽しんでこそボランティア」って言っているんです。

三年前からは、図書の貸し出し活動も始めています。「図書コーナー あじさい」という名前をつけて週一で。地域の診療所が新しくなって、古い診療所をどうやって使うかという話になったときに、私、結構本を持っていたんで、これを生かそうと。みんなにも提案して家に眠っている本を全部出してもらって、それを貸し出しましょうと。今で三年目ですけれども、4千冊ぐらいありますよ。それから、ただ貸し出すだけじゃなくて、結構スペースがあるんで、みなさんが来てお茶を飲んで楽しんでもらえるようにしようということで、一杯50円のコーヒーを出すことにしました。みんなで飲んで、おしゃべりをして。いま私が一番よく行っているのは、そこかもしれません。一番新しい活動です。そこの世話人というのは九人ぐらいいるんですけれど、全部高齢者ですよ。80歳とか70歳より上の者です。そこへ本を借りにきたり、お話をしに来たり、ワイワイ、ワイワイ、一時間ぐらい、お墓の話から病院の話から、ハッハッハッて盛り上がって、ウワァッーと笑って。私たちのリハビリにもなっているわけですよ。「ミニデイサービス並みやね」って言って、よく笑っています。

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図書コーナーは、子連れのママが訪ねたりと世代を超えた地域の交流の場に


だから、本当に嫌なことをやっていない。「ああ、こんなことやりたくないのに、仕方がないか」っていうような思いをしたことないから、28年も続いたのでしょうね。いろんな方に出会い、自分がこれから何を一番の芯に据えて生きていくのか。それが「地域」だったんですね。暮らしやすくて平和な地域を作ることだというのがわかったので、ああ、これだなと、なんでも自分のやれることはやろうと。やっぱり人に出会わないとだめなんですよ。いろんな方に出会って初めて「私」がまた広がるので、いろんな方、いろんなことに出会っていっていただきたいですね。それが一番じゃないかなと思います。

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坂本敬子(としこ)さん

1988年、兵庫県尼崎市に開設した特別養護老人ホーム「園田苑」の開設当初からのボランティアメンバー。当時の施設長・中村大蔵さん(現・理事長)とは地区内で知り合いだったことから声をかけられ、全く未経験だったボランティア活動に取り組み始める。いまでは入居者だけでなく、職員にも頼りにされる大ベテラン。「ボランティアで地域を住みよくすれば自分のためになる」と気付き、施設の外でも、一人暮らしの高齢者の見守りや交流サロンなど、地域活動を開始。安心して暮らせる地域を自分たちの手でつくる楽しさは、下の世代にも引き継がれている。1988年特別養護老人ホーム「園田苑」が、兵庫県尼崎市に開設した当初からのボランティアメンバー。

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