社会や政治に関する世論調査

台風による大雨と初の特別警報

~危機の情報はどう伝わったか~

気象庁は2013年9月16日、台風18号の接近に伴う大雨で滋賀・京都・福井の3府県62市町に大雨特別警報を出した。大雨特別警報は数十年に一度の大雨が予想され、大規模災害の危険性が差し迫っている時に出される。初めての特別警報を気象庁はどのように発表し、放送メディアと市町村はどう伝えたか、住民は、いつ、どのようにして知り、どう反応したかを調査した。調査結果は以下の通りである。

■気象庁は、3府県で48時間降水量と土壌雨量指数の5キロ四方メッシュがそれぞれ50格子以上50年に一度の値を超え、さらに大雨が続くと判断し、大雨特別警報を発表した。

■NHKは、発表直後、テレビは地域放送と全国放送でチャイム付きの字幕速報をした。ラジオは全国放送と地域放送で通常番組を中断し速報した。第1報の原稿は、危機感が伝わるよう断定調の表現を使った。特別警報の意味や必要とされる行動を分かりやすく、繰り返し伝えた。

■京都市と福知山市は、河川のはん濫が迫り、防災対応に追われる中で特別警報を受信した。携帯端末向けのメールのほか、情報伝達手段をフルに活用して住民に伝えた。福知山市では、市内全域への避難指示の呼びかけに急きょ特別警報の文言を加えた。

■大雨特別警報が出たことは、比較的多くの住民に伝わっていたが、高齢者ほど知らなかった人が多い。知った時刻も、避難に時間がかかる高齢者ほど遅かった。災害弱者に周知が行き届いていない。事態の深刻さはある程度は伝わっていたが、危険回避の行動をした人は少ない。特別警報を知った手段では、テレビとメールが多かった。発表後1時間以内はメールが多く、1時間以後はテレビが多い。

メディア研究部 福長秀彦
世論調査部   政木みき
河野 啓