社会や政治に関する世論調査

中高生はなぜ“幸福”なのか

~「中学生・高校生の生活と意識調査2012」から③~

3回にわたる「中学生・高校生の生活と意識調査2012」報告の最終回では,中高生の心理状態や将来像,価値観について考察する。

9割を超える中高生が『幸せだ』と感じていて,中でも「とても幸せだ」がこの10年で大幅に増えた。その背景には不安定な心理状態が「まったくない」人や打ちこめるものがある人の増加が考えられる。

また,多くの中高生が社会のことより自分の生活に関心があり,今の生活を充実させることを重視している。学校や家庭生活に対する評価は高く,それがそのまま幸福感の高さにつながっているとみられる。将来の夢は公務員や教師など安定して堅実な職業が上位に並び,夫婦で働き,子育ても分担すべきと現実的かつ合理的に考える中高生が少なくない。

日本の社会や将来については,親と同様,多くの中高生が否定的である。しかし中高生に限っていえば,肯定的に評価する人がこの10年で増加していて,さらに「自分をある程度犠牲にしても,他人の面倒をみる」生き方が望ましいという人も増えた。親が日本社会に希望を見出せないなか,中高生は前向きな価値観をもつ傾向がうかがえる。

世論調査部 村田ひろ子・政木みき