社会や政治に関する世論調査

社会への関心が低い人々の特徴

~「社会と生活に関する世論調査」から~

現在日本社会では、未婚者や独居老人の増加に伴い、社会とのつながりを失う人々が増え、地域コミュニティーの崩壊が進んでいる。このような状況のなか、個人個人を社会で支えあうことの重要性が増すとともに、社会と積極的にかかわろうとしない人をどう取り込むかが課題となる。そこで、こうした社会参加意欲の低い人々を、社会への「関心」というキー概念でとらえることを目的に世論調査を行った。主な調査結果は次のとおりである。

社会への関心の高低と生活意識との関係から、精神的に余裕のある人ほど社会に対する関心が高いこと、生活について満足している人ほど関心が高く、不満があっても社会へ目を向けるわけではないことが明らかになった。

社会への関心が低い人では、他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だと考える人が多く、また、人と協力し合うことが重要という人も少ない。社会との関係においても、「自分の生活とのかかわりの範囲で自分なりに考え、身近なところから世の中をよくするように心がけている」人は、関心が高い人より少ない。ただし、関心が低い人でも、約2割が「世の中をよくするように心がけている」。

メディアの効用評価については、関心が低い人で「信頼できる情報を得る」際や「ふだん表に出ない情報を知る」際など、いろいろな面でテレビを利用している人が多い。一方、インターネットを活用している人は少ない。

なお、生活困窮者が生まれる原因や差別の認識、あるいは、日本が良い方向に向かっているかどうかの認識については、関心度の高低による大きな差はないことが明らかになった。

世論調査部(社会調査) 高橋幸市・村田ひろ子