社会や政治に関する世論調査

負担意識と行動からみる環境への“危機感”

~ISSP国際比較調査(環境)から~

NHK放送文化研究所が参加している国際比較調査グループISSP(International Social Survey Programme)の2010年の調査テーマは「環境」だった。人々の環境問題に対する態度や環境のためになる行動などを探ることを目的としている。各国の結果が揃うのは2013年以降になるため今回は日本分の結果を報告する。

環境問題をどの程度心配しているかについて、心配度が弱い「1」から強い「5」までの5段階で尋ねた結果、心配度が最も強い「5」とその次の「4」を合わせると3人に2人に上った。

「日本で最も重大な環境問題」と「自分と家族に最も影響を与える環境問題」を同じ9つの選択肢から1つずつ選んでもらったところ,ともに「地球温暖化」という人が最も多かった。

「電気やガスをこまめに消す」や「ゴミを減らす」など10の選択肢から「ふだん気をつけていること」をあてはまるだけ選んでもらった結果、回答が多かったのは「電気やガスをこまめに消す」「詰め替え用製品を使う」「買い物袋持参」「節水」でそれぞれ7割近くを占めた。いずれも手軽に無駄な消費を抑えられる習慣だ。

一方、環境を守るためなら「値段の高い品物でも買う」「かなり高い税金でも払う」「今の生活水準を落とす」といった負担が伴う行動をするつもりがあるか尋ねたところ、いずれの項目でも「すすんで」行うという人は1~2%、「すすんで」に「ある程度」行うという人を合わせても2割から4割にとどまった。

環境保護と個人の関係については、「私だけが環境のために何かをしても、他の人も同じことをしなければ、あまり意味がない」という人が6割いる。個人の取り組みには限界を感じている様子が伺えた。

政府の環境保護の進め方については、企業や人々の自主性に任せるより「法律を制定すべき」という人が半数を超えた。 企業や人々に実際に取り組ませる最も効果的な方法は「重い罰金」よりも「情報提供や指導」や「税制上優遇」と考える人が多かった。

世論調査部(社会調査) 政木みき