社会や政治に関する世論調査

裁判員制度 開始直前の国民の意識

~「裁判員制度に関する世論調査(第2回)」から~

2009年5月21日、「裁判員制度」が始まった。放送文化研究所では開始直前の2009年5月上旬、「裁判員制度に関する世論調査(第2回)」を電話で行った。半年前の第1回調査と比べて制度の必要性についての認識や参加の意向度が下がるなど、制度に“否定的”な傾向が強まっていた。

第1回調査の結果と比較すると、制度の認知度は「知っている」が43%→44%、「知らない」が56%→55%となった。この半年間で認知度はまったく変わっていないという結果で、開始直前になっても制度に対する国民の理解が深まっていなかったことを物語っている。

一方、制度の必要性についての認識は「必要」が42%→34%、「必要ない」が50%→58%となり、この半年間で制度を必要だと考えている人が減った。参加の意向度も「参加したい」が減って「参加したくない」が増えた。実施の直前になっても制度の意義を見出せず、参加にも消極的な人が増えているという実態が浮かび上がった。

一方、今回の新規質問のうち、裁判員に選ばれた場合に正しい判決を出すことができると思うかを尋ねた質問は「できる」が29%、「できない」が63%で、国民の多くは正しい判決を“出せない”としていた。“出せない”理由は「感情に左右されて冷静な判断ができそうにないから」が42%と何よりも多くなった。

裁判員制度が日本に根付くと思うかを尋ねた質問は「根付かない」(68%)が「根付く」(23%)を大きく上回った。このように、今回の調査結果からは開始直前になっても裁判員制度への“期待感”があまりみられず、第1回調査よりも“否定的”な内容になったと感じられた。今後、裁判員制度をよりよいものにするためには、関係者には国民の意識を“積極的”に変える努力がいっそう求められている。

世論調査部(社会調査)酒井 芳文