社会や政治に関する世論調査

自民党歴史的大敗と有権者の選択

~第21回参議院選挙世論調査結果から~

第21回参議院選挙の結果,自民党は改選議席を27減らし37議席となり, 55年体制以来参院で占めてきた第1党の座を初めて明け渡すこととなりました。この稿では,自民党大敗,民主党躍進の選挙結果をもたらした有権者の意識や選挙結果の評価、安倍内閣崩壊の理由などについて、世論調査結果から報告します。

投票にあたって,最も重視している点として,「年金問題」31%,次いで「景気や雇用対策」26%,「政治と金」13%,「格差問題」8%,「憲法改正」 8%となり,ひとつに集中するのでなく、多岐にわたっています。「年金記録問題」をめぐる政府の対応については,(「大いに」,あるいは「ある程度」)評価する人は41%だったのに対し,(「あまり」,あるいは「まったく」)評価しない人は55%と多数となり,政府の対応へは,厳しい目が向けられていました。

安倍内閣支持率は,「支持する」33%,「支持しない」47%で,不支持が支持を上回り,前の2回の参院選の小泉内閣とはうって変わり,内閣支持率の数字は厳しい状況でした。投票予定政党との関連でみると,安倍内閣を「支持する」人では比例代表選挙で「自民党」へ投票する人が多く,内閣を「支持しない」人では「民主党」が多数となっていました。また,自民党支持者でも,内閣を「支持しない」人では,「民主党」に投票する人が「自民党」を上回り,自民党離れが進んでいました。安倍内閣への評価が投票に大きく影響した選挙だったと言えましょう。

今回の選挙結果については,「(どちらかといえば、も含め)満足」61%,「(どちらかといえば、も含め)不満」35%で,「満足」が多数となっています。また,選挙後の安倍首相の続投については,「反対」が40%だったのに対し,「賛成」は25%で,「反対」が「賛成」を上回りました。安倍首相の続投判断について,世論は全体として厳しい見方をしていました。

主任研究員  河野 啓/編成局 藤岡 隆史