社会や政治に関する世論調査

まだ不十分な“正しい理解”

~認知症に関する電話世論調査から~

厚生労働省の推計では、「認知症」の高齢者数は今後増加を続け、ピーク時の2040年には400万人に達すると見込まれています。こうした状況から、「認知症」対策は今後ますます重要になると考えられます。最近では、新しい治療薬や介護の方法が登場し、「認知症」をめぐるこれまでの「常識」が大きく変わりつつあります。「痴呆症」から「認知症」に用語が改められておよそ2年、「認知症」に関する国民の意識を調査しました。

NHK放送文化研究所が2006年11月に実施した電話世論調査によると、「家族や知り合いに認知症の患者がいる、あるいは、いた」と答えた人が47%と半数近くにのぼり、「認知症」は身近な病気であることがわかりました。そして、「認知症」を知っているかという質問に対しては7割の人が知っていると答えていて、「認知症」という用語は一定程度普及しています。また、自分が「認知症」になるかも知れないと不安を感じている人は3人に2人で、男女で比べると、男性のほうが不安を感じている人が多いこともわかりました。一方で、「認知症」の知識についてたずねてみると、「若い人でもなる可能性がある」は8割以上の人が「そう思う」と正しく答えましたが、「老化現象であり、病気ではない」や「薬は効かない」という質問に対しては、正しく答えた人が半数以下で、「認知症」についての正しい理解はまだ十分に広まっていないことがうかがえます。しかも、介護経験があっても正しい知識を持っているわけではないことも明らかになりました。「認知症」になっても安心して暮らせるようにするには、正しい理解をひろげていくことがまずその第一歩となるでしょう。

専任研究員 山田 亜樹