社会や政治に関する世論調査

父親の子育て参加と家族のあり方

2005年、ついに「人口減少時代」に突入した。出生数低下の背景として、女性に子育ての負担が集中していることが指摘されている。2005年4 月施行の「次世代育成支援対策推進法」には、「男性を含めた働き方の見直し」も盛り込まれている。「現代日本人のライフスタイル2004」(2004年 12月実施)のデータを用いて、結婚の評価や子育てに関する意識と子育ての分担との関連を分析した。

子どもを持つ男女を育児分担の程度で《ほとんど妻》《夫も手伝う》《夫も妻も同じくらい》というグループにわけ、回答傾向の違いを調べた。

「子どもはどのような存在だと思うか」という質問で、子育ての分担による子どもに対する価値観の違いをみたところ、男性では《ほとんど妻》という人が男性全体より高い割合だったのは「老後の面倒をみてくれる存在」「財産や家業などを引き継ぐ存在」であり、子育ては妻という人に“現実的な価値”を見出す人が多かった。それに対し、《夫も妻も同じくらい》という男性では「家族との結びつきを強める存在」「親の夢や理想を託す存在」が男性全体より高く、子どもに対して”精神的な価値”を置く人が多いことが読みとれる。

また、子どもを持つマイナス面と子育て分担の関連を見たところ、女性では「特にマイナスになることはない」の割合が、女性全体で26%に対し、《夫も妻も同じくらい》の人では37%で、夫が子育てに参加していると、妻は子育ての負担感が少ないという結果が読みとれる。一方、《夫も妻も同じぐらい》の男性では子どもを持つマイナス面をより多く感じているという傾向は見られなかった。

これらの結果から、父親の子育て参加は、女性の負担軽減という意味合いだけでなく、男性自身の生き方や家族のあり方と関連することが明らかになった。

研究員 諸藤絵美