調査手法の研究

調査実施機関による結果の違いを解消する試み

~個人面接法の実験調査から~

NHKが2008年に行った調査比較研究において,自らの組織で調査を実施した第8回「日本人の意識」調査と,外部の調査機関に委託して同じ方法で調査を実施するようにした外部委託の併行実験調査とを比較したところ,有効率に相違があることと,回答分布が異なる質問があることが確認された。主な相違点は,併行実験調査で,①有効率が低い,②拒否による不能が多い,③複数回答の質問で,調査相手が選ぶ選択肢の数が少ない,④回答に抵抗のありそうな質問で無難な回答になりやすい,⑤テレビ・ラジオに関する質問では,自らの組織で行う調査より好意的な回答が少ないというものである。

本稿では,調査実施機関が異なる際にみられることがある相違点は,調査実施時の運用面の工夫によって解消することができるのか検討を行った結果について報告する。2013年,第9回「日本人の意識」と併行して実施した実験調査では,各々の相違点における運用面での要因について考え,対策を講じた。その結果,調査期間を長くとったことで有効率は改善したが,その他の相違点は解消したとはいえなかった。

調査実施機関が異なる調査を比較する場合,調査分析には留意が必要である。

世論調査部 星 暁子