生活時間調査

生活時間調査からみたメディア利用の変遷と現在

2005年国民生活時間調査より

2005年国民生活時間調査の結果の概要は4月号に報告しましたが、続報として、メディア利用行動の特性をまとめました。

生活時間で調査している6項目のメディア利用(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌・マンガ・本、ビデオ、CD・MD・テープ)をまとめた「マスメディア接触」の時間は、平日4時間27分で、その大半がテレビの時間です。専念利用と他の行動との「ながら」利用で分けてみると、およそ2:1の割合で専念利用のほうが長く、自宅内か自宅外かで分けてみると9割が自宅内の利用となっています。

次に、テレビ以外のメディアについて、1970年代以降の利用の変遷をみてみました。

  1. ラジオ・・・「ながら」利用が多く、仕事や家事をしながら聴くスタイルはいつの時代も変わりません。1975年調査時には深夜放送が10~20代前半の若者によく聴かれていました。現在は60代が聴取層の中心となり、お年寄りに慰安と安心を届けるメディアの役割も担いつつあります。
  2. 新聞・・・現在もテレビに次いで行為者率が高いですが、読者層は大きく高年層に偏ってきています。1975年調査時には働き盛りの男30~50代が読者層の中心でしたが、1980年代後半に若年層で、1995年以降幅広い年層で、それぞれ「新聞ばなれ」ともいえる動きがあり、国民全体の行為者率の減少が続いています。
  3. CD・MD・テープ・・・1980年代に普及が進み、ラジオに代わる音楽メディアとして若年層に突出して利用されています。この10年で少しずつ中高年層にも利用が拡大した一方で、利用の中心にいる10、20代で行為者率が減少しています。
  4. ビデオ・・・1日の行為者率が9%(週)と、テレビのように毎日利用されるメディアではないことが伺えます。初めて調査した1985年には男20代を中心に利用されましたが、その後当時使っていた人が年をとっても同じように使う、という形で利用者の年層が広がっていきました。現在は女30・40代が利用層の中心になっています。

専任研究員 吉田理恵(現 仙台局チーフディレクター)/研究員 中野佐知子