放送に関する世論調査

人々は,テレビを見ながら何を共有しているのか

~「つながり感覚とメディア調査」から~

2013年に実施した「つながり感覚とメディア調査」の結果から,テレビのコミュニケーション機能について考察する。

“つながり感覚“とは,「テレビを見ることで,自分以外の他者や,自分が帰属している社会と気分や意識を共有すること」と定義したもので,調査では,その具体的な場面となる17の「つながり感覚項目」を設定した。

「つながり感覚項目」を持つ人の割合をみると,社会との関係を意識するような項目では高年層で高くなるなど、項目の内容と、属性との間にある程度の関係が見出された。

さらに,多変量解析を行ったところ,17の「つながり感覚項目」はその内容から3つのタイプに分類できた。1つ目の「社会性・一体感」は,テレビを見ながら,同時に見ている不特定多数の人々と連帯感を持ったり,テレビを見て社会との関係を意識したりするような感覚である。2つ目の「その場の空気感」は,テレビを見て,家族や友人などその場に一緒にいる人と楽しい時間を共有するという感覚である。3つ目の「消極的協調」は,世間で話題になっている番組について,周りの人との話題についていくために見るというような共有感である。

さらに,3タイプの“つながり感覚“の組み合わせにより,視聴者を5つのグループに分類できた。どのタイプの“つながり感覚“を持つかによって,テレビの見かたやメディア利用、コミュニケーションに関する意識・価値観に違いがみられることが確認できた。

世論調査部 西久美子・舟越 雅