放送に関する世論調査

“多極化”するデジタル時代のテレビ視聴者

~「テレビ60年調査」から~

本誌2013年6~7月号では,「テレビ60年調査」(2012年11月実施)の結果から,“カスタマイズ視聴”〔「録画再生」,「テレビ動画視聴」〕と“つながり視聴”〔「テレビSNS」,「家族視聴」〕という2つの現代的な視聴スタイルについて報告した。2月号では,そうした現代的な視聴を行う人以外にも焦点をあて,テレビの視聴スタイルで視聴者をタイプ分けし,その特徴の分析を試みた。

今回の分析は,現代的な視聴スタイルが多数派となっている16~49歳以下の若中年層を対象とし,リアルタイム視聴の時間量の多少,録画機やインターネットを媒介としたテレビへの接触頻度の組み合わせによって6つのタイプ(「マルチ型視聴」「録画活用型視聴」「ネット活用型視聴」「非リアルタイム視聴」「従来型視聴」「テレビをあまり見ない」)に分けたところ,各タイプが一定数おり,それぞれ基本属性やメディア利用,テレビの見方,メディアの中でのテレビの位置づけ,テレビに対する意識,情報・時間・コミュニケーションに関する意識や価値観に違いがみられた。また,そうしたテレビの視聴スタイルを大きく分けているものとして,基本属性に加え,その人が持つ意識・価値観,テレビに対する愛着度,デジタル機器の受容度といった要素が分析からうかがえた。現代の視聴者は,全体では,現代的な視聴をする人,しない人で“分極化”しているが,若・中年層では視聴スタイルが分散し“多極化”しているといえるだろう。

世論調査部  木村義子