放送に関する世論調査

テレビ視聴とメディア利用の現在(2)

~「日本人とテレビ・2010」調査から~

テレビに関する人びとの意識や行動について定期的に測定することを目的に、NHK放送文化研究所では1985年から5年ごとに「日本人とテレビ」調査を行っている。今年3月には6回目の調査を実施し、テレビ視聴について行動面からだけでなく、意識の面からも長期的な変化をとらえることが可能となっている。報告の2回目として今月号では、テレビと他のメディアとの関係を通してみえてくるテレビの位置づけについて報告し、最後に情報観やテレビの影響力に関する質問の結果も紹介する。

テレビはこの25年間,90%以上の人が変わらず「毎日」接触するメディアであり続けている。各メディアの評価では<報道><娯楽><解説>といった機能や,ニュースや情報を知る場合の<速報性><わかりやすさ>といった特性でテレビをあげる人が最も多く、他のメディアの追随を許していない。中でも<解説>機能ではこの10年で評価が高まっている。このようにテレビに対する評価は高く、相対的な位置づけが低くなるどころか高まっている機能もある。メディアの中でのテレビの位置づけを考えてみると,2010年時点では高い地位をどうにか保っている。

しかし、年層別にみると16~29歳ではこの5年で、テレビを「毎日」視聴する人が減少し、さらに最も欠かせないメディアとしてテレビを回答した人が大きく減少してインターネットに抜かれ、メディアの中でのテレビの位置づけが低下した。16~29歳では、行動や意識の両面でテレビから少し距離をおきはじめているといったかげりも見られた。

テレビの影響力については、91%の人が社会に対するテレビの影響力を感じているのに対して自分自身へのテレビの影響を認識している人は61%と少なくなっている。将来のテレビの影響力については,85%の人が今と変わらないか、強くなると答えている。テレビの今後について,「テレビにできることはまだ残っており、もっとやれることがあるはずだ」と答える人は78%で,男女年層別に大きな違いはなく、どの年層も70%以上が期待を示している。

世論調査部(視聴者調査)平田 明裕・諸藤 絵美 (調査システム)荒牧 央