放送に関する世論調査

多様化するメディア利用の実態と意識

~「デジタル放送調査2009」から~

このリポートでは、NHK放送文化研究所が2009年9月に実施した「デジタル放送調査2009」の概要を報告する。「デジタル放送調査」は、デジタル放送やデジタル機器の普及に伴って、放送に関連したサービスが多様化する中、放送を中心としたメディアがどのような形で利用されているかを把握することを目的としている。調査は、2007年から毎年実施していて「ワンセグ視聴意向」などの基本項目について、時系列での比較が可能である。また、毎回個別のテーマを設けており、今回は「タイムシフト視聴」「ワンセグ」「テレビ局ホームページ」「動画」などについて詳細に取り上げる。

地上デジタル放送を受信しているテレビを持っている人は54%で、2008年(39%)より増えて、国民の半数以上となった。ただし、自宅に複数台テレビがある場合でも、地上デジタル受信テレビは1台だけという人が少なくない。

テレビ番組の録画・再生については、2007年と比べて、「録画している人」全体(48%)は変わっていないものの、「毎日のように」録画する人が増えるなど、「録画頻度」はやや高くなっている。 ワンセグを見ている人は全体の21%で、2008年(16%)より増加した。視聴者は男40代以下、女30代以下で多い。ワンセグを見る時間帯は「午後8時~10時」が最も多く、夜間が視聴時間帯の中心であるが、「正午~午後2時」もよく見られている。

パソコンや携帯電話のインターネットで、テレビ局のホームページを見ている人は全体の18%で、男女40代以下で見ている人が多い。テレビ局ホームページ閲覧者が最もよく見ているのは「番組ホームページ」で、女性の利用が多くなっている。

インターネットで「動画」を見る人は全体の29%で、ネット利用者の半数以上である。動画視聴者のうち、「有料の動画も見る」と答えたのは14%で、全体では4%とまだ少数である。

世論調査部(視聴者調査)小林利行・吉藤昌代