放送に関する世論調査

テレビ番組に対する意識・評価の現況

~2008年6月「番組総合調査」の結果から~

視聴者の意識的な側面から、番組の「質的なもの」に対する評価を客観的にとらえる試みの一つとして、編成局で実施をしている「番組総合調査」の2008年度最新の結果を紹介し、この調査の利点や課題を検証しながら、視聴者の番組に対する意識・評価の現況を報告します。

この調査は、テレビの個別番組に対する視聴者の満足度などをはかるため、関東地区の夜間に放送されているNHK総合と地上波民放5局の主な定時番組を対象に、番組の認知、満足度などをたずねるものです。

調査結果の一部を紹介すると、今回、最も認知率が高かった番組は「水戸黄門」で86.3%でした。このほか「関口宏の東京フレンドパーク Ⅱ」(85.1%)、「NHKニュース7」(85.0%)など、いわゆる長寿番組の認知率が高くなっており、この傾向は例年同様です。また、番組の満足率が最も高かったのは「篤姫」で80.1%と、今回の調査対象の番組の中では唯一80%台にのった番組となりました。このほか、「探検ロマン世界遺産」(72.2%)、「その時歴史が動いた」(71.6%)など上位10番組のうち8番組をNHK総合の番組が占めるという結果となっています。

視聴率のようなどれくらい多くの視聴者に見られたか、という量的な評価と、この調査のような番組の質的な評価の関係や、質問の選択肢のワーディングの問題など、「番組総合調査」は検討・改善の余地を残す調査であることは間違いありません。しかし、視聴者の意識やニーズを探っていくためには、この「番組総合調査」や「視聴率調査」、さらにはグループインタビューなどの定性調査も含めた調査データの複合的な分析を行うことが現時点では最も有効な方策と考えています。今後も視聴率だけでは測ることのできない視聴者の意識的な側面の動向をフォローしつつ、時代に即した視聴者ニーズの把握のあり方を検討していく必要があります。

編成局(世論調査)照井 大輔