放送に関する世論調査

テレビとケータイ,使い分ける中高生

~2007年12月「中高生のテレビ・メディア利用実態調査」および「グループインタビュー」から~

今や、総合情報端末となった携帯電話(ケータイ)とは、現代の中高生にとって、いったいどのようなメディアなのであろうか。「ケータイ」の登場は彼らのテレビ視聴行動やメディア観にどのような影響を与えているのであろうか。編成局世論グループで昨年実施した、中高生を対象とした全国規模の世論調査とその結果を補完するためのグループインタビューから、その一端を紹介する。

世論調査の結果では、「ケータイ」を「ほとんど毎日使用している」という人が中高生全体で62%を占め、また、一番重要なメディアとして「ケータイ」をあげた人が最も多い(40%)。また、グループインタビューの結果からは、「ケータイ」を友だちとのコミュニケーションに欠かせないと考えていることがわかった。これに対して、テレビについては、「テレビ番組のこと」が友だちと話す話題で最も多い(85%)という世論調査の結果や,「親しみやすさ」や「多様性」などを指し示す発言の多かったグループインタビューの結果などから、最も身近なメディアであり、用途的にも「ケータイ」とは棲み分けが進んでいると考えられる。また、テレビを見る理由としては「笑ったり楽しんだりしたいから」が圧倒的であり(91%)、グループインタビューからは、自分の自由時間を楽しく気持ちのいい時間にしたいと思ってテレビを見ている様子がうかがえた。

「ケータイ」は、予想どおり中高生の生活に広く浸透しており、現代の中高生の「テレビを見ること」は、10年前のそれとは質的に異なる様相となっている。「テレビ」と「ケータイ」は一方の利用時間が増えると他方が減るといった単純な競合関係にあるメディアではないが、彼らの興味をひいたり、話題になる番組や情報の存在があり、テレビを通して友だちとそのことを共有できるという魅力があって、テレビとケータイは中高生の生活のなかで同居しているといえるだろう。

編成局(世論) 白石信子/二瓶亙/照井大輔