放送に関する世論調査

インターネット利用者の拡大とテレビ視聴

2005年3月実施の「日本人とテレビ・2005」調査によると、インターネットを週1回以上利用している人は30%で、前回の2000年調査時(15%)からほぼ倍増しています。また、中高年層や主婦でも利用者が増加し、利用者のすそ野は広がっています。

今回のリポートでは、こうしたインターネットユーザーの特性をまとめるとともに、インターネット利用の拡大が、テレビをはじめ他のメディア利用や評価に及ぼす影響について検証しました。また今後のインターネットの暮らしの中での位置づけについても考察しています。

今回の調査結果におけるインターネットユーザーのメディア機器の所有状況や利用頻度からは、多様なメディアを利用し、必要な情報を選ぶ、という主体性がみてとれます。また、各メディアに対する評価からは、それぞれの特性や強みを踏まえたうえで使い分けていることがうかがえ、現時点では、インターネットは「生活や趣味に関する情報」の入手に強みを発揮するメディアであることがわかります。一方、テレビは「感動したり、楽しむうえで」など多くの側面で評価が高く、生活全般にわたって利用されるメディアであると考えられます。

今後のインターネット利用について、テレビとの関わりという点からみると、不特定多数の人に同じ放送サービスを提供するテレビに対し、インターネットは利用対象をより特定したコンテンツで強みを発揮し、テレビとは違った形でのサービスを提供していくのではないかと考えられます。

デジタル化が進み、テレビとインターネットは機能が重なっていくことも十分考えられますが、その中でも、変わらずにテレビに期待される役割や位置づけを明らかにしていくため、今後もテレビと他のメディアとの関係について、様々な角度から継続して調査をおこなう必要があると考えています。

専任研究員 原美和子/研究員 照井大輔