放送に関する世論調査

調査研究ノート

「テレビを見ること」にどう迫るのか

今日、テレビを見る時間は1人1日4時間にも及ぼうとしている。しかし、「テレビを見ること」とはどういう意味なのか、それは自明のことのようにされて誰も深く問いかけることがない。そこで、その意味を探るため、既存の数量的実態調査の結果を洗い出してみると、「自分の家で見る」「他のことをしながら見る」「“一瞥”として見る」の三つの特性が浮かび上がってきた。次に、この三つの特性に具体的な厚みを与えるため、グループ・インタビューを試みると、① 「テレビを見ること」は、それぞれの家庭の成員の立ち居振る舞いや相互の関わり合いがかもしだす独特の雰囲気・文脈に呼応する形で、それぞれの家庭生活の中に溶け込んでしまっていること、②さらに、細かくみてゆくと、「テレビを見ること」による断続的な“一瞥”を媒介として、「家庭生活でのさまざまな活動の流れ」と「番組編成上の流れ」とが混合した独特の時間の流れが生み出されていること、が明らかになった。したがって、「テレビを見ること」の意味は、人々が繰り広げている日常の家庭生活に溶け込んでくる多様な映像(それは、「ホーム・ドラマ」のような、自分たちの生活と等身大のものもあれば、「9・11 米同時多発テロ」のような非日常的なものもある)が、その現実の家庭生活とともに紡ぎだすさまざまな織物の中に見出される違いない。今後、追究すべきは、今回のインタビューでは十分に得られなかった、「テレビを見ること」にすっかりなじんでしまった人々が、現実の家庭生活の真っ只中で、テレビ映像と共同して織り成す織物の具体例である。

世論調査 主任研究員 白石 信子