海外放送事情

【報告】 2014年アメリカ・周波数オークションの行方

~ブロードバンド時代の電波利用は~

来年(2014年)アメリカで、世界初の試みとなる周波数オークション『インセンティブ・スペクトラム・オークション(Incentive Spectrum Auction)』が行われる。アメリカでは1994年以来、20年にわたりオークションが行われてきたが、これまでと異なるのは“放送局が使用する周波数帯域を自主的に返上してもらい、オークションで通信事業者に配分し、その収入の一部を放送局に還元する”という点である。背景には、アメリカ国内でスマートフォンやタブレットの利用が急速に増え、モバイル・ブロードバンド用の周波数帯域が足りなくなるという懸念がある。また、オークションを行うFCC(連邦通信委員会)には、限られた電波(周波数)を効率的に使いたいという意向がある。

インセンティブ・オークションは、周波数買い上げ、チャンネル変更作業、オークション実施の3段階で行われる。FCCはオークションの成功に自信を示すが、放送事業者からは小規模局の撤退などで放送サービスの低下を心配する声があがる。また、どの地域からどれ位の周波数が集まるかなど未知数の部分も多く、来年の実施が関係者の注目を集めている。

メディア研究部  柴田厚