海外放送事情

地域における公共放送の役割

〈第4回〉アメリカ
多メディア時代に問われる役割

アメリカでは商業放送の規模と影響力が大きく、公共放送はそれを“補完する”ものとして機能してきた。公共放送の特徴として、「地方が基本」という点がある。各局は地域のために放送を行い、地域の人達は寄付等で放送局を支える構図である。放送局の設立母体を見ても、地元自治体や大学、地域コミュニティーなどが主体となっており、地域との密接なつながりが見られる。しかし、近年の不況や多メディア化の影響で、地方の公共放送局では厳しい運営を強いられる所も出ている。

その一つ、カリフォルニア州の公共局KCSMは、テクノロジーの進化の中で放送局としての役割が縮小し、廃業も視野に売却交渉を行っている。公共放送といえども、“市場”に影響されやすいアメリカの放送の特徴がみられる。一方、コロラド州のRocky Mountain PBSは、地元の公共ラジオ局、非営利ニュースメディアと合併することで地域サービスの拡充を図っており、「継続性」と「参加」を特徴とした取り組みが注目されている。

来年(2014年)には、放送事業者の使用する周波数帯域を通信事業者にも開放する「周波数オークション」が予定される中、各地の放送局の模索が続いている。

メディア研究部 柴田 厚