海外放送事情

世界の公共放送はどう受け止められているのか

~「公共放送に関する意識」6か国比較調査から~

「公共放送に関する意識」国際比較調査は、メディアや経済・社会環境の変化のなかで、視聴者の利用や意識から各国の公共放送の現状をとらえることを目的に、日・英・仏・独・韓・米の6か国を対象に2011年2月に実施しました。この調査は、2006年に行って以来、5年ぶりのものです。

前回調査との比較を念頭に、今回も①メディア利用状況、②公共放送の利用と評価、③公共放送の必要性と財源評価、④公共放送の役割、という4つの領域で構成しています。

公共放送の利用と評価では、高年層ほど公共放送がよく見られていることがいずれの国にも共通し、その傾向が顕著な日本、ドイツと、年層差が相対的に小さいイギリス、フランス、韓国とに分かれることがわかりました。公共放送の必要性については、前回調査と大きな変化はなく、いずれの国でも8割を超える人が公共放送を必要としていて、各国とも年層差があまりありませんでした。受信料などの財源の支払い意義についても、各国とも6割を超える支持を維持し、イギリス、韓国、フランスでは、「意義あり派」が前回と比べて増加していました。公共放送の役割として提示した10項目については、「ユニバーサリティ」、「シティズンシップ」、「質の高い番組」を中心に、どの国でも必要だと考えられていました。

これらの調査結果や、実際の視聴シェアの推移などを照らし合わせると、視聴者層が偏り、視聴シェアが減少傾向にあるなかで、期待されている役割をどのように果たしていくのかという、各国の公共放送に共通する課題が見えてきました。

 

メディア研究部(海外メディア) 中村美子、世論調査部(調査システム) 荒牧央
計画管理部(計画) 東山一郎、経営企画局(計画) 井田美恵子