海外放送事情

シリーズ 公共放送インタビュー

【第13回・アメリカ】
非営利(non-profit)メディア「Voice of San Diego」CEO スコット・ルイス氏に聞く

~増える非営利メディア、その理由と役割、公共放送との関係~

アメリカでは今、商業メディア(4大ネットワークのテレビやNew York Timesなどの新聞、雑誌等)や公共メディア(PBSやNPR)とも違う、“第3のメディア”とでも呼べる非営利(non-profit)のニュースメディアが増え、影響力を増している。代表的なものに、去年、今年と連続してピュリツァー賞を受賞したProPublicaがある。非営利メディアの特徴は、①インターネット上を主要な発表の場としている、②収入の多くを寄付や企業・財団からの協賛金に依拠している、③ニュースを網羅的にカバーするのではなく、対象を特定の分野に絞っている点などがあげられる。長引く不況でニュース番組や紙面が減らされ、ニュース要員が削減される中、“ジャーナリズムの危機”を憂える人達の期待を受け、調査報道の分野などで一定の役割を果たしつつある。

カリフォルニア州南部のサンディエゴを拠点とするVoice of San Diegoは、2005年から活動を始め、非営利メディアの成功モデルのひとつとなっている。スタッフは14人、平均年齢は20代後半と若い。「ほかがやらないことをやる」「ほかより上手くやれることをやる」をモットーに、地元に密着した政治や経済、暮らし、教育、環境などのニュースを出し続け、支持を得ている。また、他のメディアとの連携も積極的に行い、インターネット時代の新しいメディアのあり方を模索している。CEOのスコット・ルイス(Scott Lewis)氏(34才)にインタビューした。

メディア研究部(海外メディア) 柴田 厚