海外放送事情

“品位を欠く番組”はなぜ放送されたのか

~BBC危機管理の問題点~

2008年10月18日(土)に放送されたBBCラジオ2のトーク番組『ラッセル・ブランド ショー』は、のちに大きな不祥事となった。収録された番組の中で、司会者と出演者がイギリスの俳優宅に電話し、留守番電話に家族を中傷するような卑猥なメッセージを残して、その様子がそのまま放送された。聴取者からは4万件を超える非難の電話が殺到し、英ブラウン首相もその内容を批判した。BBCは会長が自ら謝罪し、ラジオ2のトップである局長とコンプライアンス担当責任者が辞任、番組も打ち切られるなど大きな影響が出た。

この不祥事については、番組の制作過程、放送までの意思決定過程、さらには外部制作会社との関係などについて問題点が指摘され、放送事業者が教訓とすべき点が含まれている。BBC執行部の最終報告書、さらに監督機関のBBCトラストがまとめた報告書をもとに、放送の経緯をたどりながら、番組管理の在り方と、ネット時代・オンデマンド時代の放送局の危機管理について考える。

メディア研究部(海外メディア)柴田 厚