視聴者から見た世界の公共放送
~「公共放送に関する意識」国際比較調査から~
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NHK放送文化研究所は、平成18年2月27日~3月6日、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカ、韓国および日本で、それぞれ約 1000人に、「公共放送に関する意識」国際比較調査を実施しました。調査相手は、各国とも20歳以上の国民からランダム・ディジット・ダイヤリング(RDD)方式で選び、電話調査法で調査を行いました。
1.調査のねらい
この調査は、多メディア化・多チャンネル化が急速に進む中で、世界の公共放送が、視聴者にどのように評価され、何が期待されているのか、などを探ろうとしたものです。
- 今回調べた7か国の公共放送テレビ、
- イギリス……BBC ドイツ……ARDおよびZDF
- フランス…… 傘下のF2、F3など
- イタリア……RAI 韓国……KBS アメリカ……PBS 日本……NHK
は、いずれも
- 1)財源として受信料や政府交付金など 公的資金を含んで運営され、
- 2)政府から独立した編集権を有する放送事業体
です。
2.調査結果から
今回の調査結果に見られた主なポイントは、次のとおりです。
- 1) 〈公共放送の必要性〉は、7か国中6か国では80%を超える人々に支持されている
- 2) 「公共放送を維持するために、受信料を払うのは意義があることだ」という意見を 支持した人は、ドイツ、日本、イギリス、韓国では60%を超えている
- 3) アメリカやイギリスでは多チャンネル化が進んでいる
- 4) 長時間視聴者が多いイギリス、アメリカ、ドイツ、 短時間派が多いイタリア、フランス
- 5) インターネット利用が盛んなのは、韓国とアメリカ
- 6) 「公共放送を多く見る」人の多いフランスとドイツ、アメリカと日本では少ない
- 7) 公共放送に「不満」な人が多いフランスとイタリア
- 8) どの国でも高率で支持されている公共放送の諸要件: 「あまねく」、「編集権の独立」、「世論形成機能」、「卓越した番組」 など
- 9) 最も多くの人々から「身近な存在」と感じられているNHK
- 10) 視聴者の意向が反映されていると思っている人が多いのは、アメリカ、韓国、 イギリス、ドイツ
- 11) 公共放送の説明責任について肯定的に評価する人の多いアメリカとイギリス