海外放送事情

世界のデジタルサービス動向

地上デジタルテレビ放送開始から2年目を迎え、2006年中には全国の約80%の世帯が、地上デジタルテレビ放送を受信することができるようになります。2月の冬季五輪トリノ大会では、日本人選手の活躍も期待され、各局の工夫を凝らした中継放送が、地上デジタルテレビ放送の普及を促進すると期待されています。地上デジタルテレビ放送の本格化とともに、2011年にアナログテレビ放送を中止するための補完手段として、CS衛星放送やブロードバンドの普及を基盤としたIPマルチキャストの利用がクローズアップされてきました。また、4月から開始される携帯端末向けサービス「ワンセグ」が開始されることは、地上デジタルテレビ放送の普及に、大きな影響を与えることになるかもしれません。

世界の各国・各地域で、それぞれの国情の違いがあるものの、放送・通信技術のグローバリゼーションによって、日本と同様にデジタル化が急速に進展しています。ヨーロッパでは、2012年のアナログ放送中止をEU加盟国の共通目標として、地上放送のデジタル化を進めています。また、アメリカでは、アナログ放送中止時期について、実行可能な時期の再設定や普及支援策の具体化など、2005年は地上デジタルテレビ放送に完全移行するための制度的取り決めが進みました。アジアの大国である中国では、地上放送のデジタル化こそまだ正式に始まっていませんが、開放と規制のはざまで、衛星放送やケーブルテレビのプラットフォームでHDTV放送などデジタル新サービスが実施されています。そこで、「地上デジタルテレビ放送とアナログ放送中止」「HDTV放送」「携帯端末向け放送」「ブロードバンドとIPTV」の4つの項目を柱として、この1年間の各地域のデジタル動向をまとめてリポートします。また、3月末に発行する予定の「データブック世界の放送2006」も併せてご覧ください。

主任研究員 中村美子/主任研究員 池田正之/主任研究員 山田賢一