海外放送事情

欧州デジタルサービスの新展開

日本の地上デジタルテレビ放送が開始してから1年以上が経過し、この春で全世帯の40%以上が地上デジタルテレビ放送を受信できるようになりました。地上デジタルテレビ受信機は3月末で379万台販売され、放送関係者や製造事業者の間では、順調な売れ行きと評価されているようです。こうした中で、来春(2006年)に開始予定の携帯電話の受信を目的とした放送サービスに関心が集まる一方、ケーブルテレビやADSLなどによるテレビ番組や映画の VOD(ビデオオンデマンド)サービスが続々と開始されると話題を集めています。

日本では今、デジタルブロードバンドの時代に、従来の放送を超えた新サービスが誕生しつつあります。この状況は、速度の違いはあるにせよ、世界共通のトレンドではないかという興味を出発点に、ヨーロッパの現状について、研究員が協力して調査を行いました。

ヨーロッパでは2005年4月現在、9カ国で地上デジタルテレビ放送を実施しています。多チャンネルテレビ放送が中心的なサービスですが、地上放送でも複数のチャンネルをパッケージにした有料放送や、イタリアのようにPPV(ペイパービュー)方式による有料サービスなど独自なサービスが行われています。

今回の報告では、「HDTV放送」「移動体向けサービス」「ブロードバンド・サービスとVOD」といったデジタル新サービスについて、ヨーロッパで実施されているパイロット実験やサービス計画など、できるだけ数多くの事例や方向性に関する情報を集めました。各国動向については、この3月にいよいよ地上デジタルテレビ放送が本格的に開始されたフランスを取り上げ、ヨーロッパで初めて地上放送にHDTVを導入することになった経緯について詳しく報告します。また、放送開始から2年目を迎えたイタリアについて、地上デジタルテレビ放送の制度や政策から新サービスの特徴まで詳細に報告します。なお、この報告は、3 月16日に千代田放送会館で行った「春の研究発表と座談会」の内容をもとに、さらに調査し分析を深めたものです。

  • [内容]
  • Ⅰ.欧州概況
  • Ⅱ.フランス ~地上デジタルテレビ放送、HDTVで放送へ~
  • Ⅲ.イタリアの地上デジタルテレビ放送 ~双方向とPPVが開く可能性~

メディア経営 主任研究員 中村 美子/主任研究員 豊田 一夫/研究員 木幡 洋子