ことばの研究

新用字用語辞典の概要まとまる(2)

~改定常用漢字表で変わる漢字表記~

改定常用漢字表が年内にも内閣告示される。これに伴って放送文化研究所では『NHK新用字用語辞典』の改訂作業を進めている。8月号に続いて9 月号でもその主な内容について報告する。9月号では、複合語の表記や同訓異字の使い分け、改定常用漢字表によって漢字表記ができるようになる主な熟語などを紹介する。

改定常用漢字表では、196字が増え5字が削除されて2136字となる。また28字について29音訓が追加される。これに伴う『新用字用語辞典』の改訂では、1400項目が変更される見通しだ。追加される漢字のなかには、多くの複合語を作る漢字がある。

このうち「~籠もる」「~潰れる」の複合語は、調査の結果「籠もる」「潰れる」をかなで書くという人が多かった。このため「口籠もる」「閉じ籠もる」「巣籠もり」や「握り潰す」「飲み潰れる」「暇潰し」などは、後部要素を「ひらがな優先」『(1)ひらがな、(2)漢字』とした。ただし、「引きこもり」「みごもる」は、かな書きの慣用があるため、例外として「~こもる」をかなのみとする。

また、今回漢字が増えたことにより、多くの同訓異字の使い分けを考える必要が出てきた。「跡」と「痕」、「切る」と「斬る」、「恐れる」と「畏れる」、「請う」と「乞う」、「張る」と「貼る」などである。用例をあげて使い分けを例示するが、中にはどちらも使うという場合もあり、迷ったときはかな書きとしたい。このほか、『新用字用語辞典』の変更項目のうち、放送でよく使うことばについて報告する。

(メディア研究部・放送用語 吉沢 信)