高校3年生は、「新・常用漢字」をどのくらい読めるか(2)
~「全国高校3年生・漢字認識度調査(11,000人回答)」分析報告~
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2009年10月「放送研究と調査」に掲載された「(1)集計報告」の続稿。
国の「常用漢字表」を見直す「試案」に掲載された漢字について、353題の出題を全国の高校3年生1万1,000人余りが回答し、新たに漢字表に加わる 191字を試案の範囲内の音訓で使った265題や、試案で新たな漢字表に加わらなかった字や音訓を使った84題などの回答を分析した。
追加される191字について、試案に掲載された音訓を使う出題は、80%以上の高い正答率のものも多かったが、高校3年生の半分以下しか読めない字も少なからずあった。たとえば「領袖」「陶冶」「進捗」「招聘」「忌憚」「痩身」「間隙」などは、正答率は10%未満である。視聴者全体にとっても、読める字は多いが、その中に読めない字もあるという点では、同様な傾向が見られると推測できる。
読める層、読めない層をさらに細かくクラス分けして、読める層でも苦手な字、読めない層でも得意とする字などがあるかどうかについてもアプローチした。
誤答が生じる背景や誤答の実際例、無回答が多くなる出題の傾向、誤答なのに本人が読めたつもりになる字なども確認できたし、同じ漢字で音読みのほうが訓読みより高正答率になる例や、NHKが2001年と2004年に行った同様の高校3年生調査との比較も試みた。
過去2回のNHK調査と比較しても、高校3年生が漢字を読む力は大きく変わってはいないと考える。