ことばの研究

放送で使われる敬語と視聴者の意識

平成20年度「ことばのゆれ」全国調査から

平成21年1月に実施した「ことばのゆれ」全国調査の結果を報告する。「ことばのゆれ」調査は1991年からNHK放送文化研究所で行っていることばに関する調査である。今回は日ごろ、視聴者や番組制作者から問い合わせの多い「放送で使われる敬語」をテーマに調査を行った。

「放送で使う敬語」は、多くの視聴者に違和感のない表現を選ぶ必要があるため、一般的な敬語の使い方とは異なる場合が多くある。実際に放送で使っている表現が、視聴者の意識と合っているのか違っているのか、調査からさぐっていく。

番組のゲストを紹介する場面の敬語は、番組司会者とゲストの関係だけでなく、視聴者を含めた3者の関係を考えなくてはならず、ことば選びが難しい。ゲストが、番組司会者の上司であった場合は、視聴者にどう紹介するのか。ゲストが政治家である場合はどうなのか、など場面ごとにわけて意識を聞いた。そのほか、配偶者の呼び方についても聞いている。

番組ゲストに視聴者のご夫妻を呼んだ場合、「夫」「妻」それぞれに対して、司会者がどのように呼びかけるべきなのか。ニュースの表現にていねいなことばを使うことに対して視聴者はどう考えているのか。また、「お」を付けてもおかしくないことばはどういうものなのか、など、放送現場が日ごろ使い方に苦慮している表現についての意識を聞いた。

(メディア研究部・放送用語 田中 浩史/山下 洋子)