放送史

放送関連資料のデジタル・アーカイブ化に向けた試み

~「放送文化アーカイブ」構想の現状と課題~

NHK放送文化研究所(文研)では、放送史関連資料や番組制作に関する資料をデジタル・アーカイブ化し、まとめて検索可能にする「放送文化アーカイブ」構想を進めている。本稿では、検証用サイトで行った実証実験の結果を踏まえ、構想の現状と課題をまとめた。

本サイトは、国立情報学研究所が開発した検索エンジンである「連想検索」の技術を利用している点が大きな特徴である。連想検索は、文書と文書の言葉の重なり具合をもとに、検索条件に近い結果を効率よく探し出す検索技術で、特定のテーマを設定して行った実証実験では、連想検索を活用して、そのテーマに関連が深い論文や歴史資料を効率的に検索できる点が確認できた。

一方、文研内で行ったアンケート調査では、連想検索の利便性や、そうした技術が使われていること自体が十分に認識されていないことがわかり、どのようにして機能の周知を図るかが課題として浮上した。また、検索結果の表示では、入力した語と検索結果の関連性をわかりやすく表示することへの要望が多く見られた。さらに、コンテンツに関しては、番組記録(番組確定表)やNHKの経営関連資料を追加することや、研究成果をより幅広く搭載することへの要望が強かった。

放送文化アーカイブは2014年度中にNHKのイントラネットで公開し、そこでの検証を踏まえて、一般公開のあり方について検討を進めていく方針である。今後、機能の改善やコンテンツの充実を図るとともに、内外のアーカイブとの連携を進めることが課題となる。

「放送文化アーカイブ」研究プロジェクト(NHK放送文化研究所・国立情報学研究所)